【ビザ】居酒屋の留学生アルバイトを正社員へ。特定技能ビザで雇用するための実践ガイド
2025/12/25
居酒屋やレストランで戦力として活躍してくれている留学生アルバイト。彼らが大学や専門学校の卒業を控えたとき、このまま正社員として長く働いてほしいと願う経営者や人事担当の方は非常に多いです。
しかし、現場での調理や接客をメインに行う場合、従来の就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」では、いわゆる単純労働とみなされ許可が下りないという大きな壁があります。そこで今、外食産業の救世主となっているのが在留資格「特定技能1号」です。
本記事では、留学生をスムーズに正社員へ登用するための具体的な手順から、受入れ機関としての体制整備、さらには「試験合格」が絶対条件となる一時的な救済措置の注意点まで、行政書士の視点から5000字前後のボリュームで徹底解説します。
現場の悩みに回答。留学生を居酒屋の正社員にするための最適解
まずは、多くの経営者様から寄せられるリアルな質問に対し、専門的な知見からお答えしていきます。
Q:特定技能の受入れ機関に登録していないのですが、雇用は難しいでしょうか。
結論から申し上げますと、現時点で登録がないからといって採用を諦める必要は全くありません。
特定技能制度における登録とは、建設業などのように事前審査が必要な一部の業種とは異なり、外食業においては、受入れ機関としての要件を満たしていることと、事後の協議会入会が基本となります。
具体的には、以下の3つのハードルをクリアしていれば、今からでも十分に間に合います。
- 食品産業特定技能協議会への加入
農林水産省が設置する協議会に加入する必要があります。これは、初めて特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に手続きを行えば良いため、採用の意思決定時点で完了している必要はありません。
- 法令遵守と欠格事由の確認
過去1年以内に、自社の都合で従業員を離職(リストラ)させていないことが重要な条件です。人手不足解消のための制度であるため、日本人を解雇して外国人に置き換えるような動きは認められません。また、社会保険料や税金の未納がないことも必須条件となります。
- 支援体制の構築
外国人が日本で生活するための支援(住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習の支援など)を行う体制が必要です。自社で行うのが難しい場合は、登録支援機関(当事務所のような専門機関)に委託することで、企業の負担を大幅に軽減できます。
今のうちの会社にはそんな体制がないと不安に思われるかもしれませんが、これらは申請準備と並行して整えていくことが可能です。
Q:特定活動46号という選択肢はどうでしょうか。ハードルが高いと聞きます。
特定活動46号(本邦大学卒業者)は、日本の4年制大学を卒業し、かつ高い日本語能力を持つ外国人に認められる在留資格です。
この資格の魅力は、特定技能よりも幅広い業務が認められる点です。居酒屋での接客や調理だけでなく、店舗管理や通訳を兼ねた業務、さらには将来的な本部での事務職への異動など、柔軟なキャリア形成が可能です。
しかし、ご指摘の通りハードルは非常に高いのが現状です。
・学歴要件:日本の4年制大学または大学院を卒業していること(短大や専門学校は不可)。
・語学要件:日本語能力試験N1、またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上。
もし、候補の留学生が専門学校生であったり、日本語能力がN2レベルであったりする場合は、迷わず特定技能1号を選択してください。特定技能であれば、専門学校卒(あるいは母国の高卒以上)でも、技能試験と日本語試験に合格すれば、現場の即戦力としてフルタイムで雇用できます。
専門家でないと思いつかない気付き:試験予約と合格証の有無
ここで、現場を知る行政書士だからこそお伝えできる重要な気付きがあります。それは、ビザの手続きよりも先に合格証が手元にあるかを確認することです。
特定技能への切り替えにおいて、最も多い失敗は、卒業までに試験に受からなかったことではありません。試験には受かったが、合格証の発行が卒業後の在留期限に間に合わないことや、試験の予約すら取れなかったことによるものです。
特に外食業の試験は予約が殺到します。会社側としては、本人が試験情報を常にチェックしているか、そして後述する特定活動への切り替えを検討する場合でも、既に試験に合格しているか、を最優先で確認してください。
外食産業で特定技能外国人を雇用するための一般的な知識
ここからは、特定技能制度を利用して雇用する際に企業側が知っておくべき基本ルールを、提供された資料や実務上の指針に基づき整理します。
1. 特定技能「外食業」で従事できる業務内容
特定技能1号の外国人は、飲食店における飲食物調理、接客、店舗管理の全般に従事できます。
・調理:仕込み、調理、盛り付け、洗い場、衛生管理など。
・接客:オーダー取り、配膳、レジ、清掃、予約受付など。
・管理:売上管理、シフト作成、食材の仕入れ、店舗運営全般。
これまでのビザでは、これらの業務は単純労働とみなされ、メイン業務として行うことは許可されませんでした。特定技能の登場により、現場の主軸として外国人を正社員採用できるようになったのは画期的なことです。
また、付随的な業務としてデリバリー(配達)を行うことも認められています。ただし、あくまで調理や接客の合間に行う程度である必要があり、デリバリーのみを専業とさせることはできません。
2. 外国人本人が満たすべき2つの条件
留学生が特定技能1号を取得するためには、以下の2つの試験に合格しなければなりません。
・技能試験:外食業特定技能1号技能測定試験。
・日本語試験:日本語能力試験(JLPT)のN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)。
技能実習2号を良好に修了している方の場合は、これらの試験が免除される仕組みがありますが、居酒屋の留学生アルバイトからの変更の場合は、原則として試験合格が必須となります。
3. 受入れ企業(特定受入機関)に求められる基準と義務
特定技能外国人を受け入れる企業には、日本人従業員を雇用する時以上に厳しいルールが適用されます。
・直接雇用の原則:外食業において派遣労働は認められません。
・日本人と同等以上の報酬:外国人であることを理由に給与を低く設定することは厳禁です。
・社会保険の強制加入:厚生年金、健康保険、雇用保険への加入は必須条件です。
・定期報告の義務:入管に対して、3ヶ月に一度、就労状況や給与の支払い状況に関する報告書を提出する必要があります。
これらの義務を怠ると、受入れ停止などの厳しい罰則があるため、コンプライアンスの遵守がこれまで以上に求められます。
試験に合格していることが絶対条件。特定活動(告示外)による待機措置
卒業が迫っているのに、特定技能ビザの申請書類が揃わないといったケースで検討されるのが、特定技能1号に移行する前提の特定活動(告示外)という在留資格です。
ここで非常に重要な、そして誤解されやすいポイントを解説します。
試験に合格していなければ、この変更申請はそもそもできません
多くの経営者様や留学生が、卒業までに特定技能の試験に受からなかったから、とりあえず特定活動ビザで働きながら勉強すればいいですよねと考えがちですが、これは大きな間違いです。
入管庁の規定では、この特定活動(6ヶ月・就労可)への変更が認められるためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
- 業務に従事するために必要な技能試験や日本語試験に合格済みであること
技能実習2号良好修了者などで試験免除となる場合を除き、既に合格していなければなりません。これから受ける、あるいは結果待ちという状態では、この特定活動への変更申請はそもそも受理されません。
- 期間中の移行が困難である合理的な理由があること
書類の準備に時間がかかっている、入管の審査待ちで在留期限が切れてしまう、などのやむを得ない事情が必要です。
- 特定技能1号で従事する予定の業務と同等の業務に従事すること
この期間中も、特定技能1号で予定している業務(接客・調理など)と同じ内容で働くことが条件です。
制度の詳細と注意点
・在留期間:原則6ヶ月です。令和6年1月より、従来の4ヶ月から6ヶ月へと延長されました。
・更新について:申請人の責めに帰すべき事由によらず、従前の受入れ機関での就労が困難となり、申請人が受入れ機関を変更することを希望するような、やむを得ない事情があると認められる場合に限り、1回だけ更新が認められます。
・通算期間へのカウント:この特定活動で在留した期間は、特定技能1号の通算上限期間(5年)に含まれます。
最近、この特定活動への変更申請が急増しており、審査期間が長期化する傾向にあります。入管庁も、特定技能1号への移行があらかじめ見込まれている場合には、できる限り最初から特定技能1号への変更申請を行ってほしいとアナウンスしています。試験に合格したら、一刻も早く本申請の準備に取り掛かることが重要です。
居酒屋での特定技能雇用に関するQ&Aコーナー
現場の担当者様が直面しがちな疑問をまとめました。
Q:居酒屋の店長候補として採用したいのですが、特定技能で大丈夫ですか。
はい、可能です。特定技能の業務には店舗管理も含まれています。現場で実務を学び、シフト管理や在庫管理などのマネジメント業務を任せていくキャリア形成は、制度の趣旨に合致しています。さらに特定技能2号へと移行すれば、より高度な管理業務を担うことも可能になります。
Q:特定技能2号への移行は現実的でしょうか。
外食業でも2号の取得が可能になりました。以前は2号の対象外でしたが、現在は解禁されています。2号を取得すれば、在留期間の更新制限がなくなり、家族(配偶者や子)を日本に呼ぶこともできるようになります。長期的な戦力として期待できます。
Q:採用コストはどれくらいかかりますか。
主に申請手数料と支援費用です。自社で全て行う場合、印紙代(4,000円)程度ですが、行政書士への報酬や、登録支援機関への支援委託料(月額2〜3万円程度が相場)が発生します。しかし、採用難の中での求人広告費と比較すれば、確実な人材確保としてのコストパフォーマンスは高いと言えます。
Q:アルバイトとして特定技能を雇えますか。
いいえ、フルタイム雇用が原則です。留学生のような週28時間以内という制限はなくなりますが、一方で社会保険加入を伴うフルタイム(正社員など)での雇用が義務付けられています。
まとめ:優秀な人材を逃さないためのタイムスケジュール
居酒屋の現場を支えてくれる留学生は、日本の文化や自社のオペレーションを理解している最高の即戦力候補です。彼らを正社員として迎え入れるためには、以下のステップを意識してください。
- まず試験
卒業の半年前には技能試験と日本語試験の合格を目指させる。
- 合格後のスピード感
試験に合格して初めて、特定技能や救済措置の特定活動の土俵に立てる。
- 専門家との連携
受入れ機関としての要件確認や支援計画の作成は、早めに行政書士へ相談する。
特に、試験に合格していなければ、卒業後の就労継続は極めて困難になるという点を、留学生本人にも周知徹底することが重要です。
当事務所では、外食業の特定技能申請に特化したサポートを行っております。この学生は要件を満たしているか、受入れ体制をどう整えればいいかといった具体的なご相談から、入管への申請取次まで、トータルでお手伝いいたします。
人手不足の時代、縁のあった優秀な人材を正社員として迎え、共に店舗を盛り上げていく。その一歩を、今から踏み出してみませんか。
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※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。
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