【経営・管理】外国人経営者が知っておくべき労働保険と社会保険の基本|経営・管理ビザ更新の鍵【社会保険・労働保険】
2026/01/04
日本でビジネスを展開する外国人経営者にとって、避けては通れないのが「在留資格(ビザ)」の問題です。 なかでも、在留資格「経営・管理」の取得や更新、さらには将来的な「永住許可」申請を検討されている方にとって、今もっとも注意すべき点が「労働保険」と「社会保険」の適切な加入です。
特に2025年10月から「経営・管理」の要件が大きく変更・厳格化されたことを受け、保険料の支払い状況がこれまで以上に厳しくチェックされるようになっています。 「うっかり未加入だった」「支払いが遅れていた」というだけで、ビジネスの継続が危ぶまれるケースも少なくありません。
今回は、外国人経営者が知っておくべき労働保険・社会保険の基礎知識と、審査における重要ポイントを徹底解説します。
在留資格「経営・管理」の厳格化と社会保険の重要性
2025年10月、在留資格「経営・管理」の許可基準が大幅に改正されました。 これまで以上に「事業の継続性」と「法令遵守(コンプライアンス)」が重視されています。
主な改正ポイントとしては、資本金等の規模が3000万円以上に引き上げられたことや、常勤職員1名以上の雇用が必須となったことが挙げられます。 ここで重要になるのが、新しく雇用した職員、および経営者自身の「保険の加入状況」です。
出入国在留管理庁は、適正な事業運営が行われているかを判断する材料として、労働保険や社会保険の適用状況を非常に細かく確認します。 具体的には、以下の点について厳しい目が向けられています。
・雇用保険の被保険者資格取得と保険料納付の履行
・労災保険の適用手続き
・健康保険、厚生年金保険の加入および保険料の適切な納付
これらの公租公課を滞納している場合、更新が認められなかったり、在留期間が短縮されたりするリスクが高まります。
労働保険(労災保険・雇用保険)の加入義務
労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」の総称です。 従業員を1人でも雇用する場合、原則として経営者は加入手続きを行う義務があります。
1. 労災保険(労働者災害補償保険)
業務中や通勤中にケガや病気をした際に給付が行われる制度です。 正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマーなど、雇用形態を問わず全ての労働者が対象となります。 保険料は全額事業主(会社)が負担します。
2. 雇用保険
労働者が失業した場合や、育児・介護で休業する場合などに給付が行われる制度です。 週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入義務が生じます。 保険料は事業主と労働者の双方が負担します。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所とは
在留資格「経営・管理」の申請において、最も混乱しやすいのが社会保険の加入要件です。 「自分の会社は加入が必要なのか」を正しく理解しておきましょう。
社会保険が強制的に適用される「強制適用事業所」の要件は以下の通りです。
法人事業所の場合
株式会社、合同会社などの法人の場合、代表者(社長)1人のみであっても社会保険の加入が義務付けられています。 外国人経営者が自分で会社を設立して「経営・管理」を取得する場合、自分自身を被保険者として社会保険に加入させる必要があります。
個人事業所の場合
個人事業主としてビジネスを行っている場合、以下の要件を満たすと強制適用事業所となります。
・常時5人以上の従業員を使用している
・かつ、製造業、建設業、販売業、金融業、および「士業(弁護士・税理士・行政書士等)」などの法定業種である
なお、士業については改正により、5人以上の雇用がある個人事業所も強制適用の対象となりました。
一方で、飲食店、宿泊業、理美容業、農業などのサービス業の一部は、現在も5人以上の雇用があっても強制適用の対象外(非適用業種)とされています。 ただし、審査では法令遵守が重視されるため、これら非適用業種であっても任意加入を検討することが望ましいケースが多くなっています。
永住許可申請では住民税と年金の支払いが鍵
将来的に「永住許可」を取得したいと考えている方は、「経営・管理」の要件以上に厳しい基準をクリアしなければなりません。 永住許可の審査では、直近5年間の公的義務の履行状況がチェックされます。
1. 住民税の支払い
住民税(個人住民税)を期限内にしっかり納めているかが問われます。 会社が給与から天引き(特別徴収)している場合は問題ありませんが、自分で納付書を使って支払っている場合、1日でも期限を過ぎると「未納・遅延」とみなされ、不許可の原因となる可能性が非常に高いです。
2. 厚生年金・国民年金
年金保険料の支払いも同様です。 経営者の場合は厚生年金への加入が原則ですが、過去に国民年金の期間があった場合、その期間に未納や遅延がないか遡って確認されます。 「期限を守って払っているか」が最大の評価ポイントとなります。
社会保険加入と審査のチェックリスト
経営者の方が自社の状況を確認するための簡易チェックリストです。
・法人の場合、役員(自分自身)は社会保険に加入しているか
・週20時間以上働く従業員を雇用保険に加入させているか
・全ての従業員に対して労災保険を適用させているか
・社会保険料、労働保険料の領収書を保管しているか
・住民税や法人税に未納や滞納がないか
「経営・管理」と保険に関するQ&A
Q1:社会保険料が高くて経営を圧迫しています。加入しなくても更新はできますか?
A1:法律で加入が義務付けられている場合、未加入のままでの更新は非常に困難です。昨今の厳格化により、未加入や滞納は事業の継続性がないと判断される大きな要因になります。
Q2:2025年10月の改正で、常勤職員を雇うことになりました。この職員も社会保険に入れないといけませんか?
A2:はい、その職員が社会保険の加入要件を満たしている場合は、必ず加入させる必要があります。常勤職員であれば、原則として健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険のすべてが対象となります。
Q3:永住許可を予定していますが、過去に数回、住民税の支払いが遅れてしまいました。
A3:永住許可の審査は非常に厳しく、直近の遅延は不許可の直結要因となります。完納した上で、数年間(通常は2年から5年程度)は遅延のない実績を積み上げてから申請することをお勧めします。
Q4:従業員が手取りが減るから保険に入りたくないと言っています。どうすればいいですか?
A4:従業員の希望に関わらず、法定の要件を満たせば加入は義務です。これを放置すると、経営者であるあなたの在留資格に悪影響を及ぼすため、適切に説明して加入手続きを行ってください。
まとめ
在留資格「経営・管理」の維持や、将来の「永住許可」取得にとって、労働保険・社会保険の適正な運用は非常に重要な要素です。 2025年10月の改正以降、審査はより実態を重視する方向にシフトしています。
当事務所では、申請の代行はもちろん、提携する社会保険労務士とともに、コンプライアンス体制の構築をサポートしております。 「自分の会社が正しく手続きできているか不安だ」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
次の一歩として、まずは貴社の現在の加入状況の確認から始めてみませんか。 現状のヒアリングと、今後の対策案のご提示をさせていただきます。
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