【特定技能】登録支援機関の申請取次と行政書士の役割:法改正を踏まえた実務上の留意点【ビザ申請】
2026/03/22
在留資格の申請を検討されている受入れ企業のご担当者様や、登録支援機関の実務に携わる皆様に向けて、実務に直結する重要なお知らせがあります。
特定技能1号の外国人材を受け入れる際、生活や業務のサポートを行う登録支援機関は欠かせない存在です。登録支援機関は、一定の条件を満たすことで出入国在留管理局への申請取次(窓口への書類提出)を行うことができます。
しかし、2026年1月に施行された改正行政書士法により、登録支援機関がどこまでの業務を行えるのか、その境界線がこれまで以上に厳格に判断されるようになりました。知らず知らずのうちに法令違反(非行政書士行為)となってしまうリスクを避けるため、制度の仕組みと注意点を正しく理解しておくことが重要です。
今回は、登録支援機関と申請取次行政書士の役割の違いを正しく整理し、お互いの強みを活かして円滑な人材受入れ体制を整えるためのポイントを解説します。
登録支援機関と行政書士法の関係
登録支援機関とは、特定技能1号の外国人労働者が日本国内で円滑に稼働・生活できるように、受入れ企業(雇用企業)から委託を受けて支援を行う機関のことです。 出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、登録支援機関は法令や要領に定められた支援計画の適正な実施や、生活オリエンテーション、相談や苦情への対応などを行うことが法的に定義されています。
原則として、在留資格の登録や変更の申請は、どの在留資格であっても外国人本人が窓口に出向いて行うのが原則です。 ただし、本人の負担を軽減し、手続きを円滑に進めるため、一定の資格を持った者が本人に代わって申請書類を提出する申請取次制度が設けられています。 申請取次は、受入れ企業の職員が自ら行うか、あるいは専門知識を持った行政書士や弁護士が行うことが原則です。 しかし、特定技能1号に関わる手続きに限っては、支援業務の一環として、地方出入国在留管理局長から承認を受けた登録支援機関の職員(一定の研修を修了した役員または職員)も申請取次を行うことができます。
ここで大切になるのが、登録支援機関ができるのはあくまで取次(窓口への提出)であり、書類の作成そのものを代行して報酬を得ることはできないという点です。 この境界線が、2026年1月の改正行政書士法の施行によってさらに厳格化されました。行政書士でない者が、報酬を得て申請書類を作成することは厳しく規制されています。
これは登録支援機関の活動を制限するものではなく、登録支援機関が「本来の業務である生活支援」に専念し、法令遵守の上でより質の高いサポートを提供するための役割分担であると言えます。
登録支援機関と申請取次行政書士の役割の違い
登録支援機関の職員と申請取次行政書士は、どちらも入管の窓口へ書類を提出する取次を行うことができますが、その本質的な役割や得意とする領域には違いがあります。 お互いの比較項目を確認し、どのように役割を分担できるかを確認してみましょう。
対応できる在留資格 ・登録支援機関の職員:原則として、自らが支援委託を受けている特定技能1号に関連するものに限定されます。
・申請取次行政書士:就労ビザをはじめ、経営管理、日本人の配偶者、永住など、すべての在留資格に対応可能です。
主な役割と業務
・登録支援機関の職員:受入れ企業に代わって、生活オリエンテーションや相談対応などの支援計画を実施することが本業です。
・申請取次行政書士:法令に基づき、書類の作成や、入管法に関する専門的なアドバイスを行うことが本業です。
報酬の形態
・登録支援機関の職員:毎月の支援委託費の中に取次業務の労力が含まれていることが一般的です。
・申請取次行政書士:申請手続きそのものに対して、個別の報酬が発生します。
登録支援機関は、特定技能外国人の生活・業務サポートがメインの役割であり、外国人材に寄り添う存在です。 一方、特定技能以外の在留資格への変更や、過去に不交付・不許可歴があるなどリスクの高い複雑なケースについては、法務の専門家である行政書士がその法的知見を発揮します。
実務上、登録支援機関は日常生活のフォローや企業とのコミュニケーションを担当し、判断が伴うビザ申請の書類作成は行政書士が担うという、相互の役割分担が一般的です。この棲み分けを正しく理解し、適切に業務を整理することが、円滑な人材受入れへの近道です。
改正行政書士法による書類作成規制の厳格化
2026年1月に施行された改正行政書士法により、無資格者による書類作成の制限に関する規定(行政書士法第19条)が大きく変わりました。 従来、行政書士でない者が報酬を得て官公署に提出する書類を作成することは禁止されていましたが、法改正によって、いかなる名目によるかを問わず、報酬を得て、業として書類作成を行うことができないという文言が明文化されました。
これにより、実質的に対価を得て書類を作成しているとみなされる行為の言い逃れが事実上不可能になり、本当に無報酬なのかがこれまで以上に厳しく判断されるようになっています。 登録支援機関が特に注意すべきポイントを整理します。
支援委託費との一体不可分性 ・書類作成費用を個別に請求していなくても、月々の支援委託費を徴収している場合、その支援業務の対価の一部に書類作成が含まれているとみなされる可能性が高いです。
・書類作成をサービスで行う代わりに支援契約を維持しているといった実態があれば、実質的に報酬を得ていると判断されるリスクがあります。
事務手数料などの別名目 ・書類作成代という名目を避け、コンサルティング料、事務手数料、翻訳料、入会金などの名目で金銭を授受していても、実態が書類作成の対価であれば不適切とみなされる可能性があります。
立証責任の事実上の転換
・いかなる名目によるかを問わずという規定ができたことで、調査や指導が入った際、登録支援機関側が本当に1円も書類作成の対価が含まれていないことを自ら証明しなければならない状況となり、不利な立場に置かれる可能性が高まります。
両罰規定の適用
・法令に違反して無資格で書類作成を行った場合、行為者本人だけでなく、所属する登録支援機関(法人)に対しても罰金刑が科される両罰規定が整備されています。
登録支援機関は受入れ企業や外国人材を支える重要なパートナーですが、ビジネスとして支援を行っている以上、完全な無報酬であることを行政機関に対して客観的に証明するのは非常に困難です。 コンプライアンスを遵守し、受入れ企業や外国人材からの社会的信用を守るためには、行政書士と役割を分担して書類作成を行うことが実務上の選択肢となります。
予期せぬトラブルを回避するためにも、企業の法務担当者様や登録支援機関のご担当者様は、この法改正の重みを正しく理解しておく必要があります。目先のコスト削減のためにリスクを冒すのではなく、中長期的な安定雇用を見据えた適正な運用が求められる時代です。
安全な運用のための境界線
登録支援機関が法令を遵守し、安全に業務を行うための境界線は以下のとおりです。
許可される範囲
・外国人本人、あるいは受入れ企業が自ら作成した書類を、登録支援機関の職員が窓口に提出(取次)すること。
・行政書士が作成した書類を、登録支援機関の職員が窓口に提出(取次)すること。
・申請書類の記入例を提示したり、本人が作成した内容に対して一般的な助言やアドバイスをしたりすること。
注意すべき範囲
・申請書の内容を登録支援機関側で代行して入力・代筆(作成)し、それに対して直接的または間接的に対価を得ること。
・自社が支援委託を受けている特定技能1号外国人以外の、第三者の外国人の書類を作成、または取次すること。
企業や登録支援機関が意図せず法令上の懸念を抱えないためには、書類の作成は行政書士に委託するか、企業や本人が自ら行うように役割分担を整理することが大切です。
実務においては、申請書類の作成には入管法に関する専門知識が必要となります。要件を満たしているかどうかの確認を怠り、誤った書類を作成してしまうと、不交付や不許可となるだけでなく、企業の今後の雇用計画にも支障をきたします。確実な許可取得と法令遵守の両立を目指すには、餅は餅屋の精神で、書類作成は専門職である行政書士に任せるのも一つの確実な方法です。
行政書士に任せることで、最新の審査傾向や法改正の動向を踏まえた書類作成が可能になります。また、入管とのやり取りにおいても、法的な根拠に基づいた主張ができるため、結果として許可取得までの時間を短縮できる可能性が高まります。
Q&Aコーナー
Q:登録支援機関の職員であれば、誰でも入管への申請取次ができるのでしょうか。
A:いいえ、誰でもできるわけではありません。 登録支援機関の職員が申請取次を行うためには、一定の研修を修了した役員または職員であり、地方出入国在留管理局長から承認を受けて届出済証明書の交付を受ける必要があります。
Q:行政書士資格を持たない者が、報酬を得てビザ申請書類などを作成する行為を何と呼びますか。
A:一般的に非行政書士行為と呼ばれます。 弁護士資格を持たない者が法律事務を行う非弁行為と混同されることがありますが、行政書士法に違反する行為は非行政書士行為として区別されます。 これに違反した場合、1年以下の懲役(または拘禁刑)または100万円以下の罰金という刑事罰の対象となる可能性があります。
Q:登録支援機関が外部の行政書士と連携して、書類作成を行ってもらうことは可能ですか。
A:可能です。 登録支援機関は本来の業務である生活支援やオリエンテーション、取次業務に専念し、複雑な書類作成や法的適合性の確認は行政書士に委ねることで、コンプライアンスを遵守した確実な手続きが可能になります。受入れ企業にとっても、二つの専門領域が関わることは安心材料となります。
Q:特定技能以外の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)の変更も、登録支援機関で取り次いでもらえますか。
A:原則としてできません。 登録支援機関が取り次げるのは、自らが支援委託を受けている特定技能1号外国人に関する手続きに限られます。 他の就労ビザや身分系のビザの在留資格については、すべての在留資格に対応できる申請取次行政書士に確認する必要があります。
Q:ボランティアとして完全な無報酬で書類作成を手伝う場合も、行政書士法違反になりますか。
A:一切の契約関係がなく、名目を問わず金銭や経済的利益の授受が完全に発生しないボランティア(無償)であれば、原則として行政書士法の業務制限は適用されません。 しかし、支援委託契約を結んでいるビジネス上の関係がある場合は、どこまでが無償なのかの線引きが厳しくなるため、実質的に報酬を得ているとみなされるリスクを排除できません。そのため、企業としての防衛策としても、有資格者である行政書士への委託が検討されます。
まとめ
特定技能制度を健全かつ円滑に運用するためには、登録支援機関のきめ細やかな生活サポートと、行政書士の法務知識のそれぞれが適材適所で機能する必要があります。 今回の行政書士法の法改正は、お互いの役割を明確にして、適正な役割分担を行うための契機と言えます。
登録支援機関が企業と外国人材を繋ぎ、行政書士がそれを法的に支えることで、より盤石な外国人材の受入れ体制が整います。申請書類の準備や、法令上の懸念を避けるための体制構築、あるいは外部の行政書士との業務連携について、具体的にどのように整理すればよいか迷うこともあるかと思います。
当事務所では、登録支援機関様や受入れ企業様からの法務相談、および書類作成に関する連携業務についてご相談を承っております。まずは、現在の社内の業務フローや委託状況の確認など、どのような形でお手伝いができるかをお話しさせていただければと思います。ご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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