【届出】外国人雇用状況の届出とは 義務化のルールと手続き期限を解説【就労】
2026/03/26
近年、日本で働く外国人の数は増加の一途を辿っています。それに伴い、事業者の方々が適切に雇用管理を行うためのルールも日々整備されています。
事業主のみなさま、外国人を雇用した際、または離職した際に、ハローワークへ行う外国人雇用状況の届出を忘れてはいないでしょうか。
この手続きは、法律で定められたすべての事業主の義務です。
手続きを怠ったり虚偽の報告をしたりすると、罰金が科される可能性もあるため注意が必要です。
今回は、行政書士の視点から、外国人雇用状況の届出制度の概要や法的根拠、手続きの期限、さらには在留資格の審査に与える影響までを詳しく解説します。
自社のコンプライアンスを守り、健全な外国人雇用を推進するためにお役立てください。
外国人雇用状況の届出をめぐる最新の動向
外国人の雇用を取り巻く環境は、社会情勢の変化とともに常にアップデートされています。
先日、労働行政を司る省庁の有識者検討会において、外国人を雇用する事業主向けの管理指針の見直しを求める意見書がまとめられました。
この検討会では、雇用状況を届け出る制度の運用改善の必要性が指摘されています。
その背景には、不法就労を未然に防止し、より健全な雇用環境を創出するという強い狙いがあります。
政府が策定している総合的な対応策や、従来の技能実習制度に代わって新たに導入が予定されている育成を目的とした外国人受け入れの新制度など、制度の大きな転換期を迎えています。
こうした流れを踏まえ、有識者検討会では外国人雇用の課題が幅広く議論されてきました。
提出された意見書には、事業主による適切な雇用管理が必要であり、指針の内容を更新して周知していくことが極めて重要であると明記されています。
現在、行政が事業主に義務付けている雇用状況の届出制度について、適正な在留資格を持たない外国人を雇用してしまうことや、偽造された在留カードの使用を防ぐため、さらなる運用の見直しが求められている状況です。
このように、外国人雇用における企業の管理責任は、今後ますます厳格化していくことが予想されます。
まずは基本となる現行の届出制度を正しく理解し、手続き漏れがないように体制を整えておくことが大切です。
外国人雇用状況の届出制度とは
外国人雇用状況の届出制度とは、外国籍の労働者を雇い入れた場合、またはその労働者が離職した場合に、その事実をハローワーク(公共職業安定所)へ届け出ることを義務付ける制度です。
この制度は、すべての事業主に適用されます。
会社の規模や個人事業主であるかを問わず、外国人を一人でも雇用すれば対象となります。
この制度の主な目的は以下のとおりです。
・外国人の就労状況を正確に把握し、雇用環境の改善を指導するため
・転職や離職をした外国人労働者に対する再就職支援を円滑に行うため
・不法就労や不正な在留資格での就労を防止し、公正な労働市場を維持するため
外国人を雇用する際は、ただ採用して給与を支払うだけでなく、行政に対して適切な報告を行うことがセットになっていると認識してください。
対象となる外国人の範囲
原則として、日本の国籍を持たないすべての人(外国籍の方)が対象となります。
ただし、以下の在留資格を持つ方は届出の対象から除外されています。
・特別永住者(歴史的経緯から日本に定住されている方々など)
・国の行政機関に勤務する一部の職員
・地方公共団体に勤務する一部の職員
正規の就労ビザである技術・人文知識・国際業務などを持っている方はもちろん、アルバイトとして働く留学生や、日本人と結婚している方(日本人の配偶者等)を雇用する場合も届出が必要です。
留学生のアルバイトだからといって報告が不要になるわけではないため、見落としがちなポイントとして注意してください。
届出が義務づけられている法的根拠と罰則
外国人雇用状況の届出は、企業の努力目標ではなく法律上の義務です。
手続きを行わなければならない確固たる法的根拠が存在します。
法的根拠
この制度は、労働施策の総合的な推進並びに単位労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(略して労働施策総合推進法)の第28条に基づいています。
条文の要旨としては、事業主は外国人を雇い入れたとき、または離職したときは、その者の氏名や在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(窓口はハローワーク)に届け出なければならないとされています。
この法律によって、国は外国人労働者の動向をマクロな視点で把握し、必要に応じた施策や支援を行えるようになっています。
義務違反に対する罰則
もし外国人雇用状況の届出を怠ったり、虚偽の記載をして提出したりした場合、法律違反として罰則の対象となります。
具体的には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
・期日までに届出を出さずに放置していた
・留学生のアルバイト雇用を報告していなかった
・書類に虚偽の在留期間や在留資格を書いて提出した
これらはすべて罰則の対象になり得ます。
30万円という金額そのものも大きな痛手ですが、何よりも法令違反の履歴が残ることによって、企業の社会的信用が低下してしまう点が大きなデメリットです。
コンプライアンスを重視する取引先からの評価が下がったり、後述する入管の審査において不利な材料になったりするおそれがあります。
手続きを行う窓口と期限について
外国人雇用状況の届出は、雇用保険への加入状況によって手続きの期限や提出書類が異なります。
ここを混同してしまう事業主の方が非常に多いため、しっかりと整理して理解しておく必要があります。
雇用保険に加入する外国人の場合
週の労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の被保険者となる外国人を雇用・離職させる場合です。
提出する書類
・雇入れ時:雇用保険被保険者資格取得届
・離職時:雇用保険被保険者資格喪失届
これらの雇用保険の書類の中に、外国人労働者の氏名や在留資格、在留期間、国籍などを記入する欄(備考欄など)が設けられています。
そのため、通常の雇用保険手続きを行うことで、自動的に外国人雇用状況の届出も兼ねる形になります。
届出の期限
・雇入れ:雇い入れた日の翌月10日まで
・離職:離職した日の翌日から起算して10日以内
雇用保険に加入しない外国人の場合
週の労働時間が20時間未満の留学生アルバイトなど、雇用保険の被保険者とならない外国人を雇用・離職させる場合です。
提出する書類 ・外国人雇用状況届出書(様式第3号)
この場合は雇用保険の手続きが発生しないため、外国人の雇用状況を報告するためだけの専用の用紙(様式第3号)を作成し、ハローワークへ提出する必要があります。
届出の期限 ・雇入れ:雇い入れた日の翌月末日まで ・離職:離職した日の翌月末日まで
たとえば、10月1日に留学生をアルバイトとして雇い入れた場合、届出期限は11月30日となります。
このように、雇用保険に入るか入らないかで期限のカウント方法が大きく変わります。
人事労務の担当者は、対象となる外国人労働者の勤務条件を確認し、カレンダーに期限をマッピングして管理することをおすすめします。
入管手続きと厚生労働省手続きの違いと連動性
外国人雇用状況の届出に関してよくある誤解が、出入国在留管理局(入管)への手続きと混同してしまうことです。
外国人の手続きを考える際、所管している役所がどこであるかを明確に区別することが、実務をスムーズに進めるための第一歩となります。
所管する役所の違い
外国人の雇用に関連する手続きは、主に以下の2つの役所に分かれています。
・出入国在留管理局(法務省):在留資格の取得、変更、更新、在留カードの発行など
・ハローワーク(厚生労働省):外国人雇用状況の届出、雇用保険の手続きなど
今回のブログのテーマである外国人雇用状況の届出は、ハローワーク、すなわち厚生労働省の手続きです。
入管へ提出する書類とは全く異なるため注意が必要です。
会社がハローワークへ届出を出したからといって、外国人本人が入管で行うべき所属機関の変更届などの手続きが免除されるわけではありません。
在留資格の更新や審査への影響
所管が異なるのだから、ハローワークへの手続きを忘れても入管の審査には関係ないのではないかと思われるかもしれません。
しかし、現実には決して無関係とは言い切れません。
外国人が在留期間の更新(ビザの延長)や在留資格の変更を行う際、入管は所属している企業が法令を遵守しているかどうかを厳しく審査します。
もし企業側が労働施策総合推進法に基づく届出を怠っていたり、労働基準法に違反するような雇用形態をとっていたりすることが発覚した場合、企業の適格性に疑問を持たれる可能性があります。
結果として、以下のような影響が考えられます。
・追加の証明書類を提出するよう求められ、審査期間が長期化する
・企業の信頼度が低いとみなされ、本来であれば3年や5年の期間が与えられるはずが、1年の短い期間しか認められない
・最悪の場合、更新申請が不許可となる要因の一つになる
外国人の雇用継続を望むのであれば、企業側も行政への報告義務を完璧に果たし、ホワイトな企業であることを証明し続ける必要があります。
ハローワークへの届出は、単なる事務作業ではなく、外国人社員の在留資格を守るための重要な手続きの一環なのです。
よくある質問(Q&Aコーナー)
ここからは、事業者の方々から当事務所によく寄せられる、外国人雇用状況の届出に関する質問と回答をまとめました。
Q 外国人雇用状況の届出を忘れていたことに気づきました。今からでも提出すべきでしょうか。
A はい、気づいた時点で速やかに提出してください。
提出期限を過ぎてしまっていても、自発的に遅れて提出する姿勢を示すことが大切です。
放置したままにしておくと、行政指導の対象となったり、万が一の立ち入り調査の際に不利に働いたりするリスクが高まります。
ハローワークの窓口に事情を説明し、誠実に対応することで、大きなトラブルを回避できる可能性が高くなります。
Q 派遣社員として外国人を労働させています。この場合、届出を行うのは派遣元ですか、それとも派遣先ですか。
A 外国人雇用状況の届出を行う義務があるのは、派遣元(雇用関係を結んでいる派遣会社)です。
労働者派遣契約に基づき外国人を自社に受け入れている派遣先の企業には、ハローワークへの届出義務はありません。
ただし、派遣先の企業であっても、その外国人が適法な在留資格を持っているか、在留期限が切れていないかを確認する注意義務は生じます。
不法就労助長罪に問われないよう、派遣元と連携して在留カードの確認などは確実に行うようにしてください。
Q 以前アルバイトとして雇っていた留学生が、学校を卒業して自社で正社員として働くことになりました。この場合、新しく届出が必要ですか。
A はい、新たな届出が必要となります。
留学生アルバイトとして雇用していたときは雇用保険に加入していないケースが多く、様式第3号で届出を出していたはずです。
そこから正社員になり、在留資格を技術・人文知識・国際業務などに変更して雇用保険に加入する場合は、いったんアルバイトとしての雇用を離職(終了)した旨の届出を行い、その後に正社員としての雇入れの届出(雇用保険被保険者資格取得届による報告)を行うのが原則的な処理となります。
雇用形態や在留資格が変わるタイミングは手続きの漏れが発生しやすいため、注意深く確認してください。
Q オンラインでの届出(インターネットによる電子申請)は可能ですか。
A はい、オンラインでの届出も可能です。
外国人雇用状況届出システム、あるいは電子政府の総合窓口(e-Gov)を利用して、インターネット経由で申請することができます。
わざわざハローワークの窓口へ出向く必要がないため、テレワークを導入している企業や、複数の拠点を一括して管理している人事担当者の方には非常に便利なシステムとなっています。
事前にアカウントの発行などが必要になる場合があるため、利用を検討される際は早めに準備を進めることをおすすめします。
まとめとご相談窓口
外国人を雇用した際、そして離職した際に行う外国人雇用状況の届出は、すべての事業主に課せられた重大な義務です。
所管が異なる厚生労働省(ハローワーク)への手続きであっても、それが適切に行われているかどうかは、巡り巡って出入国在留管理局(入管)による在留資格の審査に影を落とすことがあります。
法令違反による罰金を回避し、雇用している外国人社員が安心して働ける環境を整えるためには、手続きの期日を正確に把握し、漏れなく実行していくことが何よりも大切です。
・外国人を雇いたいけれど、どのような手続きから始めればいいのかわからない
・在留カードの確認方法や、偽造カードの見分け方に不安がある
・人事労務の負担を減らし、確実なコンプライアンス体制を構築したい
このようなお悩みをお持ちの事業主様は、ぜひ一度当行政書士事務所にご相談ください。
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