【ビザ】外国人雇用の必須知識:労働条件通知書の重要性と在留資格申請での注意点【就労系】
2024/06/06
外国人労働者を雇用する際、企業が直面する大きな課題の一つが在留資格、いわゆるビザの申請手続きです。 この手続きにおいて、雇用契約の内容を証明する資料として労働条件通知書等の労働契約に関する資料の提出が必要となる場合があります。 労働条件通知書は、単なる事務的な書類ではなく、出入国在留管理局が就労の実体や賃金水準を確認するための大事な資料となるものです。
本記事では、行政書士事務所の視点から、労働基準法に基づいた労働条件の明示義務や、在留資格審査でチェックされるポイント、そして適正な雇用管理のための実務知識について詳しく解説していきます。 外国人雇用のコンプライアンスを強化し、スムーズなビザ取得を目指しましょう。
労働条件通知書とは。なぜ作成が必要なのか
労働者を雇い入れる際、使用者は賃金や労働時間などの労働条件を労働者に対して明らかにしなければなりません。 これは労働基準法第15条第1項によって定められた法的義務です。 一般的に労働条件通知書や雇用契約書といった名称の書面で作成されます。
これらの書類は、単に会社独自のルールを伝えるものではなく、法律で定められた項目を網羅している必要があります。 特に外国人雇用の場面では、言語の壁や商慣習の違いから、労働条件をめぐるトラブルが発生しやすい傾向にあります。 書面によって明確な合意形成を図ることは、法的義務の遵守のみならず、将来的な紛争を未然に防ぐリスクマネジメントとしても極めて有効です。
労働基準法における明示の義務
労働基準法第15条では、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとしています。 この規定に基づき、厚生労働省令である労働基準法施行規則第5条では、具体的に明示すべき項目が細かく定められています。
もし、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することが可能です。 さらに、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は必要な旅費を負担しなければならないという特別な保護規定も設けられています。 このように、労働条件の明示は労働者の権利を強力に守るための制度となっているのです。
在留資格(ビザ)申請と労働条件通知書の関係
外国人の在留資格申請において、なぜこれほどまでに労働条件に関する資料が重視されるのでしょうか。 入国在留管理局が審査において特に注視しているのは、主に以下の点です。
・ 就労の実体を確認するため
・ 賃金水準を確認するため
在留資格の審査では、その外国人が適正な環境で働き、自立して生活できるだけの報酬を得られるかどうかが厳格に審査されます。 そのため、労働条件通知書は在留資格の審査には必要となる大事な資料として位置づけられています。
更新や変更の際にも準備が必要
労働条件通知書は、新規の呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)の時だけあれば良いというわけではありません。 外国人本人はもちろん、外国人を雇用する事業者は、在留資格の更新の度に必要となる場合があります。 雇用主は、在留資格の申請が必要になるたびに速やかに提出できるよう、いつでも提出できるように準備しておくとよいでしょう。
労働条件通知書に記載すべき具体的項目
労働基準法施行規則第5条では、使用者が明示しなければならない項目が列挙されています。 これらは、必ず記載しなければならない事項と、定めがある場合にのみ記載が必要な事項に分類されます。
必ず明示しなければならない事項
・ 労働契約の期間に関する事項
・ 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間や更新回数の上限を含む)
・ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む)
・ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇に関する事項
・ 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
・ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
これらの項目は、労働契約の根幹をなす要素であり、昇給に関する事項を除き、書面による明示が必須とされています。
定めがある場合に明示が必要な事項
会社として制度を設けている場合には、以下の項目も明示が必要です。
・ 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、決定、計算、支払の方法、時期
・ 臨時に支払われる賃金(賞与など)や最低賃金額に関する事項
・ 労働者に負担させるべき食費や作業用品に関する事項
・ 安全及び衛生に関する事項
・ 職業訓練に関する事項
・ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・ 表彰及び制裁に関する事項
・ 休職に関する事項
特に外国人労働者の場合、従事すべき業務内容が在留資格の範囲内であるかどうかが厳しく見られます。
書面交付のルールと電子化への対応
労働条件の明示は、原則として事項が明らかとなる書面の交付によるものとされています。 しかし、労働者が希望した場合には、以下のデジタルデータによる明示も認められています。
・ ファクシミリを利用してする送信の方法
・ 電子メールその他のその受信者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法(出力して書面を作成できるものに限る)
ただし、在留資格申請においては入管への提出が必要となるため、最終的には紙の書面として出力・保管しておくことが実務上不可欠です。 また、使用者は明示する労働条件を事実と異なるものとしてはなりません。
無期転換ルールへの配慮
有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるルールに関連し、その申込権が発生する契約締結時には以下の事項も明示しなければなりません。
・ 労働契約法第18条第1項の無期転換申込みに関する事項
・ 当該申込みに係る無期労働契約の内容である労働条件
外国人労働者であっても日本の労働法が適用されるため、長期雇用を前提としている場合は、これらの法的要件を正しく反映させた通知書を作成する必要があります。
社会保険労務士と行政書士の役割分担
外国人雇用を適正に進めるためには、複数の専門家の知識が必要になることがあります。
・ 行政書士の役割 行政書士は、主に出入国在留管理局に対する在留資格の申請手続きを専門としています。 外国人が日本で適法に働くための権利を確保するための書類作成や申請取次を行います。 労働条件通知書についても、在留資格の審査基準に適合しているか、職務内容と資格の整合性が取れているかという観点から、背景的な法的知識を備えて対応します。
・ 社会保険労務士の役割 労働法分野の実務(就業規則の作成、社会保険の手続き、労務管理など)に直接関わるのは、社会保険労務士の職域です。 雇用契約の法的な妥当性、残業代計算の適正化、労働災害への対応など、会社内部の労務環境を整えることが主な任務です。
当事務所では、在留資格申請のサポートをメインとしつつ、企業の皆様が安心して雇用を継続できるよう、適切なアドバイスを心がけております。 もし、より詳細な就業規則の作成や、社会保険・労働保険の具体的な手続きなどが必要な場合には、信頼できる社会保険労務士を探してご紹介することもいたします。 専門家同士が連携することで、企業の皆様の外国人雇用をトータルでバックアップできる体制を整えております。
労働条件通知書に関するQ&A
Q:労働条件通知書を渡さないとどのような罰則がありますか。
A:労働基準法15条1項に違反することになります。 法的ペナルティの可能性だけでなく、明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に契約を解除できます。 また、入管審査においても就労実体や賃金水準の確認が困難となり、審査に重大な悪影響を及ぼす恐れがあります。
Q:昇給に関する事項は必ず書面で渡さなければなりませんか。
A:労働基準法施行規則第5条第3項および第4項の規定により、昇給に関する事項については書面交付の義務付けからは除外されています。 しかし、トラブル防止や審査の透明性を高めるためには、書面に記載しておくことが望ましいといえます。
Q:有期契約の更新回数に制限を設ける場合、記載は必要ですか。
A:はい、有期労働契約を更新する場合があるものの締結においては、更新する場合の基準(更新回数の上限等を含む)を明示しなければならないと定められています。
Q:就業場所が変更になる可能性がある場合、どう記載すべきですか。
A:法施行規則により、就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含めて明示する必要があります。 将来的に転勤や部署異動の可能性がある場合は、その旨を明記しておく必要があります。
Q:行政書士に依頼するメリットは何ですか。
A:行政書士は在留資格申請のプロとして、どのような書類が審査に必要かを熟知しています。 労働条件通知書の内容が、申請する在留資格の要件(学歴と業務の関連性など)を満たしているかを事前に確認できるため、不許可のリスクを最小限に抑えることができます。
まとめ
外国人雇用における労働条件通知書は、労働基準法の遵守と在留資格維持のための極めて重要な書類です。 法令に基づいた正確な項目を網羅し、入管審査においてスムーズに受理されるよう準備を整えておきましょう。
当事務所では、行政書士としての専門性を活かし、外国人雇用の手続きを全面的にサポートいたします。 また、社会保険労務士との連携により、労務管理全般に関するお悩みにも柔軟に対応可能です。 具体的な手続きのご依頼やご相談がございましたら、ぜひお気軽に当事務所までお問い合わせください。
----------------------------------------------------------------------
※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。
行政書士は、ビザ、許認可申請、書類作成、その他行政や法務に関する手続の専門家です。何から始めてよいのか分からない場合、ぜひ行政書士にご相談下さい。無料相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。
行政書士ダイセイ法務事務所
✉︎ e-mail・message:【お問い合わせ】から
☎ 電話:042-816-3115
----------------------------------------------------------------------
神奈川県相模原市・東京都町田市を中心に首都圏で外国人のビザ申請サポート
神奈川県相模原市・東京都町田市を中心に首都圏でスムーズな許認可申請
神奈川県相模原市・東京都町田市を中心に首都圏で書類作成を代行するプロ
神奈川県相模原市・東京都町田市を中心に首都圏で申請書類の作成に対応
神奈川県相模原市・東京都町田市を中心に首都圏で各種書類の作成を代行

