【外国人雇用】建設業で特定技能外国人を雇用する方法 JAC加入から在留資格申請までの手続きと費用を抑える選択肢を徹底解説【ビザ】
2026/08/20
建設業界では人手不足が深刻化しており、特定技能制度を活用して外国人材を受け入れる企業が年々増えています。
しかし建設業における特定技能外国人の雇用は、他の業種と比べて手続きが複雑であることをご存じでしょうか。
単に在留資格の申請をすれば良いというわけではなく、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入や、国土交通省への受入計画の申請など、独自のステップを踏む必要があります。
この記事では、建設業で特定技能外国人を雇用する際に必要な手続きの全体像を整理し、費用面のポイントも含めてわかりやすく解説していきます。
これから外国人材の受け入れを検討している建設業者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ建設業で特定技能人材の需要が高まっているのか
建設業界は他の産業に先駆けて高齢化が進んでおり、技能を持つ職人の引退と若手入職者の不足が同時に進行しています。
現場を支える技能労働者の絶対数が減少する一方で、インフラの維持補修や住宅の建て替え需要は継続しているため、多くの事業者が慢性的な人手不足に直面しています。
こうした背景から、技能実習を修了した外国人材が特定技能へ移行し、即戦力として現場に定着するケースが増えてきました。
特定技能制度は、一定の技能水準と日本語能力を持つ外国人材に対して、より長期的な就労を認める仕組みであり、企業にとっても安定した人材確保の手段として注目されています。
ただし、建設業は制度上の特例業種に位置づけられており、他業種にはない独自の受け入れルールが設けられている点に注意が必要です。
建設業における特定技能外国人雇用の全体像
建設業で特定技能外国人を雇用するためには、大きく分けて三つのステップをクリアする必要があります。
・JAC(建設技能人材機構)への入会
・国土交通省への建設特定技能受入計画の申請
・出入国在留管理庁(入管)への在留資格申請
この三段階を順番にクリアして初めて、外国人材を建設現場で受け入れることができます。
多くの業種では入管への申請だけで手続きが完結しますが、建設業の場合はその前段階として業界団体への加入と国の受入計画の認定が求められる点が大きな特徴です。
以下、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
ステップ1 JACへの入会手続き
最初に行う必要があるのが、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入です。
JACへの加入方法は二通りあります。
・JACの正会員である建設業者団体を経由して間接的に加入する方法
・JACの賛助会員として直接入会する方法
正会員団体としては、業界内の大手連合会や中小企業の連合会、外国人材の受け入れ支援を目的とした団体などが該当します。
どちらの方法を選んだとしても、国土交通省へ受入計画を申請する際には、JACの会員であること(または正会員団体の構成員であること)を証明する書類が必要になります。また、外国人材を受け入れた後は、JACに対して毎月の受入負担金を支払う義務が発生する点も押さえておきましょう。
ステップ2 国土交通省への建設特定技能受入計画の申請
JACへの加入、もしくは加入の見込みが立った段階で、次に行うのが国土交通省(地方整備局等)への建設特定技能受入計画の申請です。
この申請はオンラインの受入管理システムを通じて行います。
申請にあたっては、主に以下の点が審査の対象となります。
・JACに加入しているかどうか
・日本人と同等額以上の給与を月給制で支払う体制になっているか
・過去に労働基準法などの違反がないか
・キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録と技能者登録を行うかどうか
この受入計画の認定は、建設業ならではの独自要件です。
給与水準や労務管理の適正性が厳しくチェックされるため、あらかじめ社内の労務体制を整えておくことが重要になります。
とくにCCUS(建設キャリアアップシステム)への登録は必須要件となっているため、まだ登録していない事業者は早めに準備を進めておくと安心です。
CCUSとは技能者一人ひとりの資格や現場経験、就業履歴を業界横断で蓄積していく仕組みであり、外国人材であっても日本人の技能者と同様に登録の対象となります。登録には一定の準備期間がかかるため、受入計画の申請を検討し始めた時点で並行して手続きを進めておくと、後のステップがスムーズに進みます。
ステップ3 出入国在留管理庁への在留資格申請
国土交通省から受入計画の認定書が交付されて、ようやく通常の特定技能手続き、つまり入管への申請に進むことができます。
海外から外国人材を呼び寄せる場合は在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行い、すでに国内にいる留学生や技能実習生からの切り替えの場合は在留資格変更許可申請を行います。
このとき提出する書類には、通常の特定技能関係書類に加えて、ステップ2で取得した国土交通省の受入計画認定書の写しを添付することが必須となります。
この認定書の添付漏れは審査の遅延につながりやすいため、書類一式を揃える段階で漏れがないか十分に確認しておきましょう。
技能実習からの移行の場合と海外からの新規呼び寄せの場合とでは、求められる技能試験や日本語試験の合格実績、必要書類の内容が異なる点にも注意が必要です。自社が受け入れようとしている外国人材がどのルートに該当するのかを早い段階で整理しておくことで、書類準備の手戻りを防ぐことができます。
雇用開始前後に必要となるその他の手続き
在留資格の取得がゴールというわけではありません。
雇用の前後にも、以下のような重要な手続きが控えています。
・事前ガイダンスと生活オリエンテーションの実施
・CCUS(建設キャリアアップシステム)へのカード発行と登録
・入管への定期報告および随時報告
事前ガイダンスは、労働条件や日本での生活ルールについて、入国前または在留資格変更前に本人へ説明を行うものです。
こちらは登録支援機関へ委託することも可能です。
雇用開始後は速やかにCCUSへの登録手続きを行い、外国人材本人の就業履歴を蓄積できる体制を整える必要があります。
さらに、四半期ごとに受入状況や報酬の支払い状況を入管へ報告する義務があるため、継続的な管理体制の構築が欠かせません。社内で担当者を明確にし、報告漏れが起きないよう体制を整えておくことが望ましいでしょう。報告を怠った場合や内容に虚偽があった場合には、受入計画の認定取り消しにつながる可能性もあるため、軽視できない手続きの一つです。
JAC賛助会員にかかる費用について
JACへ直接加入する賛助会員の場合、固定費用は月額制ではなく年会費として設定されています。
年会費は24万円(非課税)であり、月換算すると2万円程度になります。
なお、入会金は不要です。
これとは別に、特定技能外国人を実際に雇用した場合には、雇用人数に応じた受入負担金が毎月発生します。
・JAC年会費(固定費) 年間240,000円(月換算20,000円)
・受入負担金(外国人1人あたり) 月額12,500円(年額150,000円)
たとえば特定技能外国人を1人雇用している場合、JACへの実質的な月々の負担額は32,500円(年会費按分20,000円と受入負担金12,500円の合計)となります。雇用人数が増えるほど受入負担金も比例して増加するため、採用計画を立てる際にはこのコストもあらかじめ織り込んでおくことが大切です。
費用を抑えるポイント 正会員団体経由の間接加入という選択肢
JACへの加入方法として、賛助会員としての直接加入のほかに、JACの正会員である建設業者団体を経由した間接加入というルートがあります。
この方法を選ぶことで、JACへの年会費24万円が免除される(0円になる)というメリットがあります。
一方で、所属する各建設業者団体側への入会金や年会費が別途数万円程度発生する点には注意が必要です。
とはいえ、多くのケースにおいて、直接加入でJACの年会費24万円を支払うよりも、間接加入によるトータルの維持費のほうが抑えられる傾向にあります。自社がすでにいずれかの建設業者団体に加盟している場合は、あらためて正会員団体経由での加入が可能かどうかを確認してみることをおすすめします。
なお、JACの正会員団体は業界全体で60を超える数にのぼり、専門工種ごとの全国団体から、外国人材の受け入れ支援を主目的として設立された団体まで、さまざまな性格の団体が名を連ねています。
JACに直接加入しない場合の具体的な選択肢
JACへの間接加入を考える際、実際にどのような団体があるのかイメージしづらいという声もよく聞かれます。
ここでは一例として、外国人材の受け入れ支援を主な目的として設立された正会員団体を紹介します。
・一般社団法人SIEN
SIENは、特定技能で働く外国人を雇用する建設業者が制度を円滑に活用できるよう支援する目的で設立された団体で、JACの正会員として登録されています。
賛助会員として加入すると、国土交通省への建設特定技能受入計画の申請に必要な会員証の発行を受けることができ、これによりJACへ直接加入せずとも要件を満たすことが可能になります。会費の目安としては、入会金が無料、月会費が10,000円程度とされており、JACへ直接加入する場合の年会費24万円(月換算2万円)と比べると、負担を抑えられるケースが多いようです。
SIENへの問い合わせ先は以下の通りです。
・公式サイト https://sien.or.jp/
このほかにも、専門工種ごとの全国団体や、中小建設業者を対象とした連合会など、性格の異なる正会員団体が複数存在します。会費水準やサポート内容は団体ごとに異なるため、自社の業種や既存の団体加盟状況に応じて、比較検討したうえで選ぶことをおすすめします。
いずれの団体を選ぶ場合も、加入前に最新の会費や入会条件を各団体の公式サイトなどで確認しておくと安心です。
手続きを進めるうえでの注意点
建設業における特定技能外国人の受け入れ手続きは、他業種と比べてステップ数が多く、書類の準備にも時間がかかる傾向があります。
とくに国土交通省への受入計画申請では、労務管理の適正性が厳しく審査されるため、給与体系や就業規則の見直しが必要になるケースも少なくありません。JACへの加入から在留資格の取得まで、一連の手続きには一定の期間を要するため、検討し始めた段階から余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが、スムーズな受け入れにつながります。
書類の不備や要件の見落としがあると、審査のやり直しや受け入れ時期の遅延につながる可能性もあるため、手続きに不安がある場合は専門家へ相談しながら進めることも一つの方法です。
まとめ
建設業で特定技能外国人を雇用するには、JACへの加入、国土交通省への受入計画申請、入管への在留資格申請という三つのステップを順番に進める必要があります。
さらに、雇用開始前後にも事前ガイダンスの実施やCCUSへの登録、入管への定期報告といった対応が求められます。
費用面では、JACへの加入方法によって年会費の負担が大きく変わるため、正会員団体経由の間接加入も含めて自社に合った方法を検討することが重要です。
手続きが複雑に感じられる場合は、早めの情報収集と準備が受け入れ成功のカギとなります。
よくある質問(Q&A)
建設業で特定技能外国人を雇用する場合、必ずJACに加入しなければなりませんか。
はい、建設業で特定技能外国人を受け入れる場合、JACへの加入(正会員団体経由の間接加入、または賛助会員としての直接加入)が必須となります。JACに加入していない状態では、国土交通省への受入計画の申請自体ができない仕組みになっています。
JACの受入負担金は雇用人数によって変わりますか。
はい、受入負担金は特定技能外国人1人あたり月額12,500円が発生する仕組みのため、雇用人数が増えるほど負担金の総額も比例して増えていきます。採用計画を立てる際には、人数分の負担金をあらかじめ見込んでおくことをおすすめします。
国土交通省の受入計画が認定される前に入管へ在留資格の申請をすることはできますか。
原則としてできません。入管への在留資格申請では、国土交通省から交付される受入計画認定書の写しの提出が必須書類とされているため、認定を受けてから入管への申請に進む流れとなります。
CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録はいつまでに行う必要がありますか。
CCUSへの登録は国土交通省の受入計画申請段階でも登録意思の確認が行われるほか、雇用開始後は速やかに外国人材本人のカード発行と登録手続きを行うことが求められます。早めに社内の登録体制を整えておくとスムーズです。
手続きに不安がある場合、どこに相談すればよいですか。
JACへの加入手続きや国土交通省への申請書類の準備、入管への在留資格申請は専門性が高く、書類の不備があると審査が長引く原因にもなります。手続き全体を効率よく進めたい場合は、行政書士など専門家へ相談することも有効な方法です。
JACに直接加入しなくても要件を満たせますか。
はい、JACの正会員である建設業者団体のいずれかに加入することで、間接的にJACの会員要件を満たすことができます。前述のSIENもそうした団体の一つであり、こうした団体経由での加入は、JACへ直接加入する場合と比べて会費負担を抑えられるケースが多いようです。自社の業種や状況に合った団体を選ぶことが大切です。
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