【後見】後見人は自分で選べるのか 法定後見と任意後見の違いをわかりやすく解説【民法】

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【後見】後見人は自分で選べるのか 法定後見と任意後見の違いをわかりやすく解説【民法】

【後見】後見人は自分で選べるのか 法定後見と任意後見の違いをわかりやすく解説【民法】

2026/06/21

「将来、認知症などで判断能力が低下したとき、後見人には誰がなるのだろうか」

「できれば息子や信頼できる家族に財産管理を任せたいが、それは可能なのだろうか」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

実際のところ、後見制度には大きく分けて二つの種類があり、それぞれで後見人の決まり方や、ご本人の希望が反映される度合いが大きく異なります。

本記事では、法定後見と任意後見の違い、後見人候補者の指定が認められるケース、そして任意後見監督人という制度について、できるだけわかりやすく整理してご紹介します。

法定後見と任意後見、まず押さえておきたい基本の違い

二つの制度の最も大きな違いは、利用を始めるタイミングと、後見人の決まり方にあります。

法定後見は、すでに本人の判断能力が低下した後に利用する制度で、後見人は家庭裁判所が選任します。

任意後見は、判断能力が十分にあるうちに、本人自身が将来の後見人を契約によって決めておく制度です。

どちらの制度にも家庭裁判所が関わる点は共通していますが、関わり方や、本人の希望が反映される度合いは大きく異なります。以下、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

法定後見では候補者を指定できるのか

すでに判断能力が低下してしまった後に利用するのが法定後見制度です。

家庭裁判所に申立てを行う際、申立書には後見人候補者を記載する欄があり、息子や娘など特定の親族の氏名を記入することは可能です。

申立人自身が後見人になることを希望して申し立てることも、制度上は認められています。

申立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長などと定められており、家族が申立人になることに問題はありません。

ただし、最終的に誰を後見人として選任するかを決めるのは家庭裁判所であり、申立書に記載した候補者がそのまま選ばれるとは限らない点に注意が必要です。

候補者が選ばれにくいケース

家庭裁判所が親族以外の専門職を選任する背景には、いくつかの典型的な事情があります。

・不動産の売却予定があるなど、財産管理が複雑なケース

・多額の流動資産を保有しており、専門的な管理体制が求められるケース

・推定相続人同士で意見が対立しているなど、親族間にトラブルがあるケース

・後見人候補者に対して、他の親族から反対意見が出ているケース

このような事情がある場合、裁判所は弁護士や司法書士といった専門家を後見人として選ぶ判断をすることがあります。

家族が選任されやすくなるポイント

逆に、家族を後見人として選任してもらいやすくするためには、事前の準備が役立ちます。

・推定相続人全員から、候補者が後見人になることについての同意書を得ておくこと

・本人の生活状況や意向を日頃から把握し、適切な財産管理ができることを裁判所の調査において示すこと

家庭裁判所は面接などの調査を通じて、候補者の適格性を確認します。日頃からの関わりや、親族間の合意形成が、結果に影響を与える重要な要素になります。

確実に後見人を指定したいなら任意後見制度

法定後見では裁判所の判断に委ねられる部分が大きい一方、判断能力が十分なうちにあらかじめ後見人を決めておく方法もあります。それが任意後見制度です。

本人の判断能力が十分なうちに、将来の任意後見人となる人物との間で任意後見契約を結びます。この契約は必ず公正証書によって作成しなければならないと法律で定められています。

契約があることで、家庭裁判所は原則としてその契約相手を任意後見人として認めるため、法定後見のように裁判所の判断で全く別の人物が選ばれるリスクを大きく減らすことができます。

将来、特定の人に財産管理や生活支援を任せたいという希望が明確にある場合、任意後見制度は非常に有力な選択肢といえるでしょう。

後見開始のタイミングは自由に決められない

任意後見契約を結んだとしても、契約した瞬間から後見が始まるわけではありません。

後見が開始されるためには、本人について精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になっていることが必要です。

本人や任意後見人となる予定の人物が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行い、裁判所が判断能力の低下を確認した時点で、初めて後見がスタートします。

つまり、まだ十分に元気な状態で「財産管理が面倒だから今月から始めてほしい」という理由だけで開始することはできない仕組みになっています。

元気なうちから支援を受けたい場合の工夫

判断能力はしっかりしているものの、身体的な事情などから早めに財産管理を任せたいというケースも多くあります。

このような場合には、任意後見契約とあわせて次の二つの契約を結ぶ移行型という方法が一般的に用いられています。

・財産管理等委任契約 判断能力があるうちから、銀行手続きや年金の管理などを委任する契約で、開始のタイミングを自由に決められます

・見守り契約 定期的に連絡を取り、本人の健康状態や判断能力の変化を確認するための契約です

本人の判断能力が低下した段階で家庭裁判所への申立てを行い、これらの契約から任意後見契約へと移行していく形になります。

任意後見監督人とは何か

任意後見制度には、もう一つ重要な存在として任意後見監督人があります。

当事者間の契約だけで後見をスタートさせてしまうと、外部からのチェックが及ばない状態になり、どれほど信頼関係があっても財産の使い込みなどのトラブルが生じるおそれがあります。

そこで家庭裁判所は、任意後見人を直接監督するのではなく、任意後見監督人という第三者を選任することで、間接的に後見業務をチェックする仕組みを設けています。

任意後見監督人の役割

・本人の判断能力が本当に低下しているかを、診断書などをもとに確認すること

・任意後見人の財産管理が適切に行われているかを、定期的に確認すること

家庭裁判所自体が後見人を直接監視するのではなく、専門職などの監督人を通じて間接的に状況を把握する点が、この制度の特徴です。

監督人はどのように選ばれるのか

家庭裁判所には、弁護士会や司法書士会、社会福祉士会などの専門職団体から推薦された候補者名簿が用意されています。

裁判所はこの名簿の中から、本人の財産状況や後見人との関係性などを総合的に考慮し、職権で適任者を選任します。

客観的かつ厳格なチェックが求められることから、実務上は弁護士や司法書士といった法律専門職が選ばれるケースが多くなっています。

行政書士は任意後見監督人になれるのか

法律上、任意後見監督人になるために弁護士でなければならないといった資格制限は設けられていません。

破産者や本人と裁判で争っている人などの欠格事由に該当しない限り、行政書士であっても、また一般の親族であっても、制度上は監督人に就任することが可能です。

近年では、後見業務に関する職能団体に所属し、後見やその監督業務に携わる行政書士も増えてきています。

懇意の専門家を候補者として指定できるか

公正証書を作成する際に、任意後見監督人の候補者として特定の専門家を希望する旨を書き添えたり、家庭裁判所への申立て時に推薦書を提出したりすることは可能です。

しかし、最終的な決定権は家庭裁判所にあるため、希望どおりに指定されるとは限りません。

後見人と監督人候補者の関係が近すぎると判断された場合には、客観的な監督が期待しにくいとみなされ、名簿にある別の専門職が選ばれることもあります。

任意後見を備えるための具体的な流れ

将来に向けて任意後見制度を準備しておく場合の、おおまかな流れを整理します。

・話し合いと内容の決定 誰を任意後見人とするか、また委任する業務の範囲を本人と話し合って決めます

・必要書類の収集 本人と後見人候補者の住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本などを準備します

・登記されていないことの証明書の取得 法務局において、まだ法定後見等が開始されていないことを証明する書類を取得します

・公証役場での契約 必ず公正証書によって任意後見契約を締結します。完成後は公証人の手続きにより法務局へ登記されます

この段階まで完了すれば、事前の備えは整った状態となり、まだ監督人への報酬は発生しません。

その後、本人の判断能力が実際に低下した段階で、医師の診断書を添えて家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行い、監督人が選任された日から後見が正式にスタートします。

なお、任意後見人自身への報酬は無報酬と設定することもできますが、裁判所が選任する任意後見監督人への報酬は、本人の財産から継続的に発生する点も押さえておきたいポイントです。

まとめ

法定後見では、後見人候補者を指定することは可能であるものの、最終的な判断は家庭裁判所に委ねられます。

一方、判断能力が十分なうちに任意後見契約を結んでおけば、将来の後見人をほぼ確実に指定することができます。ただし、後見の開始時期は本人の意思だけでは決められず、判断能力の低下が確認された時点で家庭裁判所の手続きを経て始まる仕組みです。

また、任意後見には必ず任意後見監督人という第三者が関わり、財産管理の適正さをチェックする体制が整えられています。

将来の財産管理や生活支援について不安や疑問がある方は、早い段階で専門家に相談し、ご自身やご家族の状況に合った制度を検討しておくことをおすすめします。

特に任意後見制度は、公正証書の作成や必要書類の収集など、準備に一定の時間を要します。判断能力が低下してから慌てて検討を始めるのではなく、本人が健康なうちから家族で話し合いを始めておくことが、後悔のない制度選択につながります。

また、制度の利用を検討する段階では、財産の内容や親族関係など、家庭ごとに事情が異なります。同じ任意後見契約であっても、委任する業務の範囲や、移行型を組み合わせるかどうかによって、必要な準備や手続きの進め方は変わってきます。

ご自身の状況に合わせてどのような備えが適切か判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談し、具体的な手続きの流れや必要書類について確認しておくと安心です。

よくある質問

法定後見の申立てで、息子を後見人候補者として指定することはできますか

申立書の候補者欄に氏名を記載することは可能です。ただし、最終的に誰を選任するかは家庭裁判所の判断によるため、必ずしも希望どおりになるとは限りません。

任意後見契約を結べば、すぐに後見人としての業務を始めてもらえますか

すぐに開始することはできません。本人の判断能力が実際に低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点から効力が発生する仕組みになっています。

判断能力はまだしっかりしているが、早めに財産管理を手伝ってもらいたい場合はどうすればよいですか

任意後見契約とあわせて、財産管理等委任契約や見守り契約を結ぶ移行型という方法があります。判断能力があるうちから一部の手続きを委任することができます。

任意後見監督人には、必ず弁護士などの専門家が選ばれるのですか

資格上の制限はなく、行政書士や親族であっても就任は可能です。しかし実務上は、客観性が求められることから法律専門職が選ばれることが多い傾向にあります。

懇意にしている専門家を任意後見監督人に指定することはできますか

候補者として希望を伝えることは可能ですが、決定権は家庭裁判所にあります。後見人との関係が近すぎると判断されれば、別の専門職が選ばれることもあります。

将来の後見制度の活用について、ご自身やご家族の状況に応じた具体的な進め方を知りたい場合は、お気軽に専門家へご相談ください。

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※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。

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