【帰化】元日本人の帰化申請とは 要件・必要書類・許可までの流れを分かりやすく解説【ビザ】
2026/06/20
元日本人の帰化申請 要件・必要書類・許可までの流れを分かりやすく解説
かつて日本国籍を持っていたものの、結婚や海外移住などをきっかけに外国籍を取得し、日本国籍を離れた方は少なくありません。
そうした元日本人の方が再び日本国籍を取得する場合、通常の帰化申請よりも条件が緩やかになる仕組みが用意されています。
この記事では、元日本人の帰化申請における要件のポイント、必要書類、申請から許可までの一般的な流れについて、できるだけ分かりやすく整理しました。
これから日本への本帰国や国籍の再取得を検討している方の参考になれば幸いです。
なぜ日本国籍を失うことになるのか
元日本人と聞くと特殊なケースのように思われがちですが、実際には誰にでも起こり得る事情で日本国籍を離れている方が多くいます。
たとえば、海外の方と結婚して相手国に長く暮らすうちにその国の国籍を取得したケース、子どもの頃に親の仕事の都合で海外へ移り、家族とともに現地の国籍を取得したケース、海外でのビジネスや永住を目的として現地国籍を取得したケースなどが代表的です。
日本は二重国籍を認めていないため、こうした事情で外国籍を取得した時点で、日本国籍は自動的に失われます。本人の意思とは関係なく、家族の決定によって国籍を失っていた方も少なくありません。
その後、離婚や退職、子育てが落ち着いたタイミングなどをきっかけに、もう一度日本に根を下ろしたいと考える方が、元日本人としての帰化申請を検討する流れになります。
元日本人の帰化は「簡易帰化」の対象になる
日本の国籍法では、帰化を希望する方の事情に応じていくつかの種類が定められています。
外国籍のまま初めて日本国籍を取得したいという一般的なケースでは、住所要件や生計要件など複数の条件をすべて満たす必要があります。
一方で、かつて日本国籍を持っていた方が帰化を希望する場合は、国籍法第8条に基づく簡易帰化の対象となり、一般的な帰化に比べて要件が大きく緩和されます。
これは、過去に日本人として暮らしていた実績や、日本との結びつきの強さが考慮されているためです。
元日本人の帰化で緩和される主な要件
簡易帰化が適用される場合、特に次の点が緩和されます。
・住所要件の緩和
通常は引き続き5年以上日本に住んでいることが求められますが、元日本人の場合は現在日本に住所を有していれば申請が可能とされています
・能力要件の緩和
成人していなくても、本人単独での申請が認められる場合があります
・生計要件の緩和
本人に安定した収入や資産がなくても、生活保護等を受給していなければ大きな問題とはされにくい傾向があります
このように、一般的な帰化に比べてハードルが下がる点が、元日本人による帰化申請の大きな特徴です。
緩和されない重要な要件にも注意
要件が緩和される一方で、次の点は元日本人であっても必ず満たす必要があります。
・素行要件
税金や年金の未納、滞納がないこと、重大な前科や交通違反がないことなどが確認されます
・重国籍防止要件
日本は二重国籍を認めていないため、日本国籍を取得する際には現在の外国籍を離脱する必要があります
・憲法遵守要件
日本の政府を暴力で破壊することを企てる団体などに所属していないことが求められます
特に素行要件については、日本に帰国してからの納税状況や年金の支払い状況が丁寧に審査される傾向にあるため、早い段階から準備を整えておくことが大切です。
2026年の制度運用の変化にも要注目
近年、外国人の在留や帰化に関する制度全体について、運用の見直しが進められています。
一般帰化については、居住要件の運用がより厳格化される方向性が示されており、今後の動向によって審査の重点が変わる可能性があります。
ただし、国籍法第8条に基づく簡易帰化については、条文そのものが大きく変更されたわけではなく、これまでの住所要件の緩和という枠組みは維持される見通しです。
とはいえ、納税状況や社会保険の確認期間が広がる可能性も指摘されているため、元日本人の方であっても、帰国後の素行面については従来以上に丁寧な準備をしておくと安心です。
元日本人の帰化に必要な書類
元日本人の帰化申請では、かつて日本国籍を有していたことを証明する戸籍関係の書類がポイントになります。主な書類は次のとおりです。
・帰化許可申請書(写真付き)
・親族の概要を記載した書面
・履歴書(居住歴、学歴、職歴など)
・帰化の動機書(本人が自筆で作成)
・宣誓書(申請時に法務局で記入)
・除籍謄本、改製原戸籍謄本(過去に日本国籍を有していたことが分かるもの)
・父母や親族の戸籍謄本
・住民票の写し(世帯全員分)
・納税証明書、課税証明書、源泉徴収票など収入関係の証明書
・運転記録証明書(運転免許がある場合)
・現在の国籍国が発行する国籍証明書やパスポートの写し
・出生証明書、婚姻証明書(該当する場合)
外国語で作成された書類には、翻訳者の署名付きの日本語訳を添付する必要がある点にも注意してください。
戸籍関係書類はどこで取得するのか
除籍謄本や改製原戸籍謄本、出生時の戸籍謄本は、日本国籍を有していた当時の本籍地を管轄する市区町村の役所に請求します。現在の居住地や出生地の役所ではない点に注意が必要です。
請求書に記入する筆頭者は、出生時の戸籍であれば父または母の名前、結婚前に国籍を離脱した方であれば父または母の名前、結婚後に新しい戸籍を作っていた方であれば本人または当時の配偶者の名前になります。
本籍地が遠方や海外の場合は、郵送での請求が可能です。請求書、手数料となる定額小為替、本人確認書類のコピー、返信用封筒を同封して役所の戸籍係に送付する流れが一般的です。
本籍地がはっきり分からない場合は、当時一緒に戸籍に入っていた親族に確認する、あるいは記憶にある住所を管轄する役所に問い合わせるなどの方法で探していくことになります。
申請から許可までの一般的な流れと期間
元日本人の帰化申請は、概ね次のような流れで進みます。
・法務局への事前相談
・必要書類の収集と作成(おおよそ1か月から3か月程度)
・法務局への申請書類の提出
・面談や追加書類の提出
・許可後の官報告示
書類の準備期間に加え、法務局に申請が受理されてから許可が出るまでには、おおよそ半年から10か月程度かかることが一般的とされています。ケースによってはこれより短くなることも長くなることもあるため、あくまで目安として捉えておくとよいでしょう。
日本への帰国に使える在留資格について
帰化を申請するためには、原則として日本に住所があることが前提となります。そのため、海外に住んでいる元日本人の方が日本に戻る際には、まず在留資格(ビザ)の取得が必要になります。
ここで知っておきたいのが、元日本人の方は結婚していなくても「日本人の配偶者等」という在留資格を取得できるという点です。
この在留資格は名称に配偶者と入っているため誤解されやすいのですが、法律上は日本人の配偶者に加えて、日本人の子として生まれた者も対象に含まれています。出生時に父または母が日本国籍であった方は、その後に外国籍を取得して日本国籍を失っていたとしても、この在留資格の対象になります。
この在留資格には就労制限がなく、パートタイムや会社経営、無職であっても日本での滞在が認められやすいという特徴があります。日本に戸籍が残っているため、血縁関係や元日本人であることの立証が比較的容易である点も、手続きを進めやすくする要素のひとつです。
海外から日本に呼び寄せる形でこの在留資格を取得する場合、主に次のような書類が必要になります。
・元日本人であることを示す除籍謄本や改製原戸籍謄本
・出生時の戸籍謄本、父母の戸籍謄本
・在留資格認定証明書交付申請書
・現在の外国パスポートの写し
・本国発行の出生証明書(日本語訳付き)
・日本での生活費を証明する預金残高証明書や年金受給証明書、または身元保証人の納税証明書等
書類の組み合わせは、本人の生活状況や日本での仕事の有無によって変わってきます。仕事が決まっている場合は雇用契約書、これから仕事を探す場合や退職後の生活であれば資産や年金の証明が中心になるなど、状況に応じて準備すべき書類が異なる点を押さえておきましょう。
よくある質問
元日本人であれば必ず帰化が許可されますか
簡易帰化の対象になることで住所要件や生計要件などが緩和されますが、それだけで必ず許可されるわけではありません。税金や年金の未納がないか、重大な交通違反や前科がないかといった素行要件は変わらず審査されます。帰国後の生活態度を整えておくことが許可への近道です。
海外で再婚していても元日本人としての帰化申請はできますか
可能です。元日本人であることを示す戸籍関係の書類があれば、現在の婚姻状況にかかわらず簡易帰化の対象として申請を進めることができます。配偶者がいる場合は、その方に関する書類も別途必要になることがあります。
戸籍の本籍地が分からない場合はどうすればよいですか
当時一緒に戸籍に入っていた親や祖父母に確認する方法のほか、記憶にある実家の住所などを管轄する役所に問い合わせて調査してもらう方法があります。手がかりが少ない場合でも、複数の役所に照会することで判明することがあります。
日本に身元保証人になれる親族がいない場合は申請できませんか
身元保証人がいない場合でも、本人や配偶者の資産状況、就労予定などを示すことで申請を進められる場合があります。状況によって必要な証明の組み立て方が変わるため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
帰化と在留資格の取得はどちらを先に進めるべきですか
日本に住所がない状態では帰化申請ができないため、海外在住の方はまず在留資格を取得して日本に住所を移すことが前提になります。その後、生活が安定してきた段階で帰化申請に進むという順序が一般的です。
まとめ 元日本人の帰化はまず正確な情報収集から
元日本人の帰化申請は、一般的な外国人の帰化に比べて要件が緩和されており、ハードルが低い手続きであることは間違いありません。
しかし、戸籍関係書類の収集や、帰国後の素行要件の証明など、実務上は細かな準備が必要になる場面が多くあります。また2026年以降は制度運用そのものが見直されつつある時期でもあるため、最新の情報を踏まえて手続きを進めることが大切です。
ご自身やご家族の状況に当てはめてどのように準備を進めればよいか分からない場合は、早めに行政書士などの専門家へ相談することで、必要書類の見落としや手続きの遅れを防ぐことができます。
特に元日本人の帰化申請では、戸籍の本籍地が遠方であったり、当時の事情を知る親族が高齢であったりするなど、自力での書類収集に時間がかかりやすい傾向があります。専門家に依頼することで、本籍地の調査や役所への請求、申請書の作成までを一括して進めてもらえるため、海外在住のまま手続きを進めたい方にとっても安心感があります。
帰化や在留資格に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。これまでの居住歴や戸籍の状況などをお伺いしながら、お一人おひとりの状況に合った進め方をご案内いたします。
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※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。
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