退去強制後に日本へ戻るには 上陸拒否期間の短縮決定と上陸特別許可を行政書士がわかりやすく解説

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退去強制後に日本へ戻るには 上陸拒否期間の短縮決定と上陸特別許可を行政書士がわかりやすく解説

退去強制後に日本へ戻るには 上陸拒否期間の短縮決定と上陸特別許可を行政書士がわかりやすく解説

2026/10/11

過去に日本で退去強制を受けた外国人の方が、もう一度日本で暮らしたい、働きたいと考えたとき、最初に立ちはだかるのが上陸拒否期間です。

退去強制による上陸拒否期間は、原則として5年とされています。

5年と聞くと、とても長く感じられる方が多いのではないでしょうか。

実は近年の制度改正により、一定の場合には、この期間を短縮してもらう手続が新しく用意されました。

一方で、すでに出国してしまっている場合には、別の考え方が必要になります。

この記事では、上陸拒否期間の短縮決定、上陸特別許可、そして就労系と身分系の在留資格の違いについて、行政書士事務所の視点から整理してお伝えします。

ご本人だけでなく、日本にいるご家族や、採用を検討している企業のご担当者さまにもお役に立てる内容です。

この記事でわかること

・上陸拒否期間の基本的な仕組み

・上陸拒否期間の短縮決定とは何か、いつ申請できるのか

・収容されている場合に、どのように行政書士へ連絡を取ればよいのか

・すでに出国している場合に使われる上陸特別許可の考え方

・就労系の在留資格と身分系の在留資格で、現実的な選択肢がどう変わるのか

上陸拒否期間とは何か

上陸拒否期間とは、過去に退去強制などを受けて日本を出国した外国人が、一定の期間、日本へ上陸できなくなる制度です。

出入国管理及び難民認定法(入管法)の上陸拒否事由に基づくもので、期間は理由によって異なります。

おおまかな目安は次のとおりです。

・出国命令を受けて出国した場合は、原則として1年

・退去強制により出国した場合は、原則として5年

・過去に退去強制歴がある場合や、不法入国などが理由の場合は、10年

・1年以上の実刑判決を受けた場合などは、期間の定めがない長期の上陸拒否

ここで大切なのは、出国命令と退去強制では、同じように日本を離れる場合でも、その後の扱いが大きく変わるという点です。

出国命令は、自ら出頭した人などを対象に、収容をせずに簡易な手続で出国させる制度であり、その分、上陸拒否期間も短く設定されています。

以前は、摘発された方は出国命令の対象にならず、5年の拒否期間を受け入れるしかありませんでした。

この点が、近年の改正で見直されています。

令和6年6月から始まった上陸拒否期間の短縮決定

令和5年の入管法改正により、令和6年6月10日から、上陸拒否期間の短縮決定という制度が始まりました。

退去強制令書の発付を受けた外国人が、自費で出国することについて許可を受けたうえで申請を行い、短縮が相当と認められた場合に、上陸拒否期間が5年から1年に短縮されるというものです。

審査では、退去強制の理由となった事実、素行、その他の事情などを総合して、短縮を認めることが相当かどうかが判断されます。

つまり、申請すれば必ず認められるという制度ではありません。

違反の内容や悪質性、これまでの在留状況などが、丁寧に見られることになります。

もうひとつ、見落とされがちな重要な注意点があります。

短縮決定を受けた場合でも、短期滞在の在留資格で再び上陸しようとするときは、上陸拒否期間は5年のままとされています。

つまり、1年に短縮されるのは、在留資格認定証明書(COE)を取得して、中長期の在留資格で入国する場合を想定した仕組みだと理解しておくのが安全です。

観光や親族訪問のつもりで気軽に入国しようとしても、この制度の恩恵は受けられません。

短縮決定の申請ができるタイミングは出国前

上陸拒否期間の短縮決定は、退去強制令書の発付を受けた後、実際に出国する前に申請する手続です。

出国後に、過去の拒否期間を縮めてほしいと単独で求める手続ではありません。

流れを大まかに整理すると、次のようになります。

・退去強制令書が発付される

・自費出国の許可を受ける

・短縮決定の申請を行う

・審査の結果、短縮が相当と認められれば決定が出る

・短縮された期間を前提に、出国する

このため、国外に出てしまってからでは、短縮決定という選択肢は使えません。

出国する前の、できるだけ早い段階で専門家に相談することが、結果を大きく左右します。

収容されている場合、どうやって行政書士に連絡を取るのか

実際には、ご本人が収容施設にいらっしゃるケースが少なくありません。

その場合、ご本人が自力で行政書士を探すのは現実的に難しいため、次のような方法が考えられます。

・外にいるご家族、ご友人、支援者の方が、入管業務に詳しい行政書士を探して連絡する

・依頼を受けた行政書士が収容施設へ面会に伺い、委任状などの書類に署名を頂いて受任する

・ご本人が、施設で認められた範囲で電話をかけたり、手紙を出したりして、直接連絡を取る

最も多いのは、外部のご家族や支援者の方が窓口になる方法です。

その際は、申請取次の資格を持つ行政書士に依頼することが大切です。

また、事案によっては、退去強制手続そのものへの対応が必要になることもあります。

そうした場合は、弁護士との連携が望ましいこともありますので、最初のご相談で、見通しを丁寧にお聞きになることをおすすめします。

申請すれば送還は止まるのか

多くの方が不安に思われるのが、申請をすれば送還は止まるのか、結果が出る前に送還されてしまうのではないか、という点です。

申請をしたからといって、送還の手続が当然に止まるとは限りません。

結果が出る前に出国手続が進んでしまう可能性は、現実にあると考えておく必要があります。

特に、送還の準備がかなり進んでからの申請では、時間的な余裕がなくなってしまいます。

そのため実務では、次のような点が重要になります。

・退去強制令書が発付されたら、できるだけ早く動く

・自費で出国する意思と、航空券を手配できる見通しがあることを、はっきり示す

・送還の時期について、担当部門に事情を説明し、調整を相談する

ただし、送還の時期や調整の可否は、個々の事案や入管側の運用によって異なります。

確実に止まる、確実に待ってもらえる、といったことは言い切れません。

だからこそ、時間との勝負になるのです。

すでに出国している場合は上陸特別許可を検討する

すでに出国してしまい、5年の上陸拒否期間がまだ経過していない場合は、短縮決定は使えません。

この場合に検討されるのが、上陸特別許可と呼ばれる例外的な取扱いです。

在留資格認定証明書の交付申請を行う中で、上陸拒否事由に該当する外国人について、法務大臣が相当と認めたときは、その事由のみを理由としては上陸を拒否しないこととする、という仕組みがあります。

審査の結果として在留資格認定証明書が交付され、在外公館で査証を取得できれば、日本の空港などで上陸の申請をする際に、拒否事由以外に問題がなければ上陸が認められる流れになります。

ここで押さえておきたいのは、これは原則ではなく、あくまで例外的な救済だという点です。

法務大臣の広い裁量による判断であり、申請書類の整え方や、事情の説明の仕方が結果に直結します。

出入国在留管理庁は、過去の許可事例と不許可事例を公表しています。

その内容を見ると、許可された事例の多くは、日本人の配偶者等や、永住者の配偶者等といった、身分に基づく在留資格です。

技術・人文知識・国際業務などの就労ビザではどうか

では、就職先を確保したうえで、技術・人文知識・国際業務などの就労系の在留資格で、上陸特別許可を求めることはできるのでしょうか。

申請そのものを行うことは、制度上は可能です。

しかし、日本で働きたい、受け入れてくれる会社がある、という事情だけでは、例外的な許可を得るための強い事情としては弱いと評価されやすいのが実情です。

公表されている事例も、身分系の在留資格が中心となっています。

そのため、5年の拒否期間が残っている段階で、就労ビザだけを頼りに進める方法は、現実的とはいえない場合が多いでしょう。

ただし、次の2つの道筋は、きちんと押さえておく価値があります。

・上陸拒否期間が経過した後に、就職先を確保して、通常の在留資格認定証明書交付申請を行う

・退去強制の前に短縮決定を受けておき、1年の経過後に、就労系の在留資格で認定証明書の交付申請を行う

後者は、短縮決定を受けた方にとって、大きなメリットです。

もっとも、上陸拒否期間が明けたからといって、就労系の要件の審査が緩くなるわけではありません。

学歴や職歴と業務内容の関連性、会社の安定性、報酬の水準など、通常の審査が行われます。

過去の違反歴がある場合は、その点も慎重に見られると考えておきましょう。

拒否期間中の呼び寄せは、結局のところ身分系が中心

上陸拒否期間が残っている間に再入国を目指す場合、現実的な選択肢となるのは、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、日本人の子の養育を理由とする在留資格など、身分や家族関係に基づくものが中心です。

これらが通りやすいのは、家族が一緒に暮らせないという事情が、人道上の配慮として評価されやすいからです。

もっとも、結婚している、子どもがいる、というだけで自動的に許可されるわけではありません。

公表事例の特記事項などから読み取れる、審査上の主なポイントは次のとおりです。

・婚姻関係の真実性(交際の経過、連絡の記録、渡航歴、生活の実態など)

・生計の安定性(収入や、同居した後の生活基盤)

・退去強制の理由となった違反の内容や悪質性

・出国が自費だったか、国費による送還だったか

・過去の退去強制歴の回数

・退去強制からの経過期間と、婚姻の期間

経過期間や婚姻期間については、事例ごとにかなり幅があり、何年たてば大丈夫といった一律の基準があるわけではありません。

だからこそ、総合的な説明と、裏付けとなる資料の質が、審査の分かれ目になります。

状況別に見る進め方のまとめ

ご自身やご家族の状況に近いものを、確認してみてください。

・まだ日本にいて、退去強制令書が発付された、または発付が見込まれる場合は、自費出国と短縮決定の申請を、できるだけ早く検討します

・すでに出国していて、日本人や永住者の配偶者、日本で暮らす子がいる場合は、身分系の在留資格で、上陸特別許可を前提とした認定証明書の申請を検討します

・すでに出国していて、就労目的が中心の場合は、拒否期間の経過を待ち、その間に学歴、職歴、就職先などの準備を整えます

・短縮決定を受けて出国した場合は、1年の経過後に、就労系や身分系の認定証明書の交付申請を検討します

どのケースでも、過去の違反内容と、いまの生活状況の両方を、客観的な資料で説明できるように準備することが共通のポイントです。

申請前に整理しておきたい準備のポイント

準備の段階で、次の点を整理しておくと、相談がスムーズに進みます。

・退去強制を受けた理由と、その時期、出国した日

・退去強制令書や出国時の書類など、手元にある資料

・過去の退去強制歴や、刑事処分の有無

・日本にいる配偶者や子の身分、収入、住居の状況

・婚姻や交際の経過がわかる資料(写真、通話記録、渡航記録、送金記録など)

・採用を予定している企業がある場合は、会社の概要と予定する業務内容

事実と異なる説明や、整合性のない書類は、審査で大きなマイナスになります。

不利な事情も含めて、正直に、かつ筋道を立てて説明することが、結果的に近道になります。

よくある質問(Q&A)

Q1 退去強制を受けた後でも、上陸拒否期間を短縮してもらえますか。

A 一定の場合には可能です。

令和6年6月10日から、退去強制令書の発付を受けた外国人が、自費出国の許可を受けたうえで短縮決定の申請を行い、相当と認められれば、5年の拒否期間が1年に短縮される制度が始まっています。

ただし、必ず認められるわけではなく、違反の内容や素行などが総合的に判断されます。

Q2 すでに日本を出国してしまいました。あとから短縮を申請できますか。

A 短縮決定は、出国前に行う手続です。

出国後に、過去の拒否期間の短縮だけを単独で求めることはできません。

出国後は、拒否期間の経過を待つか、身分関係などの強い事情がある場合に、上陸特別許可を前提とした認定証明書の申請を検討することになります。

Q3 短縮決定を受ければ、短期滞在で1年後に来日できますか。

A できません。

短期滞在で再び上陸しようとする場合は、拒否期間が5年のままとされています。

1年への短縮は、認定証明書を取得して、中長期の在留資格で入国する場合を想定したものと理解してください。

Q4 収容されている場合、行政書士にはどのように連絡すればよいですか。

A ご家族や支援者の方を通じて、入管業務に詳しい申請取次の行政書士に連絡を取る方法が一般的です。

依頼を受けた行政書士が面会に伺い、委任状などの書類を整えて受任します。

ご本人が、施設で認められた範囲の電話や手紙で、直接連絡をとることも可能です。

Q5 短縮の申請をすれば、送還は止まりますか。

A 申請をしたからといって、送還が当然に止まるとは限りません。

結果が出る前に、出国の手続が進んでしまうおそれもあります。

送還の時期の調整は、個々の事案や運用によって異なりますので、できるだけ早く専門家にご相談ください。

Q6 就職先が決まっていれば、技術・人文知識・国際業務で上陸特別許可は受けられますか。

A 申請自体は可能ですが、就職先があるという事情だけでは、例外的な許可を得る強い理由としては評価されにくいのが実情です。

公表されている許可事例も、身分系の在留資格が中心です。

拒否期間の経過を待つか、短縮決定を受けて1年の経過後に申請する方法も、あわせて検討してみてください。

Q7 配偶者や子がいれば、必ず許可されますか。

A 必ずしもそうとはいえません。

婚姻の真実性、生計の安定性、違反の悪質性、国費送還の有無、退去強制歴の回数などが、総合的に審査されます。

資料を丁寧に揃えて、事情を筋道立てて説明することが重要です。

まとめ

上陸拒否期間は、一度定められたら変えられないものではなく、状況によっては短縮の道が用意されるようになりました。

ただし、その申請は出国前に行う必要があり、タイミングを逃すと選択肢が大きく変わってしまいます。

すでに出国している場合は、身分関係に基づく上陸特別許可を検討するか、拒否期間の経過を待つかという判断になります。

就労系の在留資格を目指すなら、短縮決定を受けて1年を待つ方法、あるいは拒否期間の経過後に通常の申請を行う方法が、現実的な道筋です。

制度の運用は、今後も見直される可能性がありますので、最新の情報を確認しながら進めることが大切です。

当事務所では、入管業務に精通した行政書士が、状況の整理から、申請方針のご提案、書類の作成、申請の取次まで、一貫してサポートしております。

退去強制後の再入国や、拒否期間に関するお悩みは、おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

ご家族や企業のご担当者さまからのご相談も、お受けしております。

早めにご相談いただくほど、取れる選択肢は広がります。

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※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。

行政書士は、ビザ、許認可申請、書類作成、その他行政や法務に関する手続の専門家です。何から始めてよいのか分からない場合、ぜひ行政書士にご相談下さい。無料相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。


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特定行政書士 大井 淳
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