高度人材・みなし高度人材の永住許可ガイド|ポイント特例と親の帯同、手数料改定後の注意点を解説
2026/10/08
日本で働きながら、「そろそろ永住許可を考えたい」と思い始めた方は多いのではないでしょうか。
とくにポイント制の高度人材外国人であれば、通常の10年ではなく、1年または3年で永住許可を申請できる特例があります。
一方で、高度専門職の在留資格には、永住者にはない「親の帯同」という大きな特典もあります。
どちらを選ぶかは、キャリアだけでなく、家族の状況や将来設計によって答えが変わります。
さらに、2026年10月1日から在留手続の手数料が大きく改定され、永住許可の申請を取り巻く環境も変わりました。
この記事では、高度人材外国人と「みなし高度人材」の違い、永住許可の特例、家族同時申請の注意点、手数料改定後の入管の状況、そして高度専門職と永住者の比較までを、行政書士事務所の視点でわかりやすく整理します。
高度人材外国人とは|ポイント70点と80点の違い
高度人材外国人とは、学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、合計70点以上に達している外国人材を指します。
入管法に基づく制度で、ポイントの水準によって受けられる優遇措置が異なります。
・70点以上:出入国在留管理上のさまざまな優遇措置の対象になります。
・80点以上:優遇措置がさらに手厚くなり、永住許可の申請に必要な在留期間が大きく短縮されます。
なお、ポイントの計算は、学歴や職歴の証明書類、年収資料などをもとに行われます。
「自分は何点なのか」を正確に把握することが、すべてのスタートラインです。
みなし高度人材とは|高度専門職ビザがなくても対象になる
「みなし高度人材」という言葉を、ご存じでしょうか。
これは、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」や「教授」などの一般的な就労ビザのままでありながら、ポイント計算では70点または80点以上を満たしている方を指す通称です。
ここで押さえておきたいのは、「みなし高度人材」という用語が、法令や入管庁の公式な文書にあるわけではない点です。
公的には、在留資格を問わず、ポイント計算で70点以上を有する方をまとめて「高度人材外国人」と呼んでいます。
では、なぜこの通称が広まったのでしょうか。
高度専門職の在留資格を持つ方と持たない方とでは、永住許可の申請時に必要な書類や、受けられる優遇措置の範囲が異なります。
その違いを実務の現場で識別し、混乱を防ぐためのラベルとして定着したのです。
つまり、高度専門職ビザに切り替えていなくても、ポイント要件を満たしていれば永住許可の特例を使える可能性があります。
永住許可の特例|80点なら1年、70点なら3年
通常、永住許可の申請には、原則として10年以上継続して日本に在留していることが求められます。
高度人材外国人には、この期間を大幅に短縮する特例があります。
・80点以上:継続して1年間日本に在留していれば、永住許可を申請できます。
・70点以上:継続して3年間日本に在留していれば、永住許可を申請できます。
この特例は、高度専門職の在留資格を持っていない「みなし高度人材」の方にも適用されます。
ただし、その場合は、申請時点に加えて、1年前(80点の場合)または3年前(70点の場合)の時点でも、ポイント要件を満たしていたことを書類で証明しなければなりません。
過去の時点の年収や職歴、学歴を裏づける資料を、早めに集めておくことが大切です。
また、特例を使えるからといって、他の要件が免除されるわけではありません。
素行が善良であること、独立して生計を営めること、納税や年金などの公的義務を履行していることなど、永住許可の基本的な要件は引き続き審査されます。
家族と同時に申請する場合の注意点
ご家族と一緒に永住許可を申請するケースは少なくありません。
その際に気をつけたいのが、本体者と配偶者とで、公的義務の履行状況を確認される期間や範囲が同じとは限らない点です。
たとえば、80点以上の特例を使う本体者は、直近1年分の年金や健康保険の納付状況を示す資料が基本となります。
これに対して、配偶者の分は、申請区分によって確認の範囲が異なる場合があり、本体者より長い期間の納付状況が見られることもあります。
そのため、「自分は1年分で足りるから、配偶者も同じだろう」と考えるのは禁物です。
近年は、納税や年金、健康保険の納付について、期限内に支払われているかどうかが重く見られる傾向にあります。
たとえ現在は完納していても、過去に納付が期限を過ぎていた場合、審査で不利に働くおそれがあります。
もし配偶者側に不安があるときは、次のような進め方も選択肢になります。
・まず本体者が単独で永住許可を申請する。
・本体者が永住者になった後に、配偶者が「永住者の配偶者等」への変更を検討する。
どの方法が適しているかは、世帯の状況によって異なります。
申請前に、年金記録や納税記録をそろえて確認しておくことをおすすめします。
手数料改定後の入管の状況|駆け込み申請と審査遅延
2026年10月1日から、在留手続の手数料が大幅に引き上げられました。
永住許可の手数料は、従来の1万円から20万円になっています。
在留資格の変更や在留期間の更新も、従来の一律6,000円から、許可される在留期間に応じて段階的に引き上げられ、最大で7万5,000円となりました。
改定前の手数料が適用されるのは、2026年9月30日までに入管で受付が完了した申請です。
この日付を目前にして、全国の出入国在留管理局では駆け込み申請が相次ぎました。
窓口では早朝から長い行列ができ、待ち時間が数時間に及ぶ日もあったと報じられています。
オンライン申請システムでも、アクセスの集中による混雑が生じました。
駆け込み申請の影響は、手数料改定の後もしばらく続くと考えられます。
そのため、これから申請を検討する方は、次の点に注意してください。
・審査にかかる期間が、通常の目安より長くなる可能性を織り込む。
・在留期限が近い方は、更新手続を前倒しで進める。
・必要書類がそろった段階で、速やかに申請できるよう準備しておく。
手数料の負担が増えたからこそ、書類の不備による不許可や再申請を避けることが、これまで以上に重要になっています。
高度専門職と永住者の違いを比較
高度専門職(1号・2号)と永住者は、日本での長期滞在を考えるうえで、よく比較される在留資格です。
それぞれの違いを、項目ごとに見ていきましょう。
在留期間
高度専門職の在留期間は、1号が5年、2号が無期限です。
永住者の在留期間も無期限です。
なお、2号は、1号で一定期間活動した方が移行できる資格です。
在留カード自体は、どちらも定期的な更新が必要です。
就労の制限
高度専門職は、高度専門職としての活動や、これに関連する一定の活動が認められる資格です。
永住者には就労の制限がなく、職種や業種を問わず働くことができます。
親の帯同
高度専門職は、一定の要件のもとで、本国の親を日本に呼び寄せて同居できます。
永住者には、この特例にあたる制度がなく、親を長期にわたって日本に呼び寄せるための在留資格は、原則としてありません。
家事使用人の帯同
高度専門職は、世帯年収などの要件を満たせば、家事使用人を雇用できる場合があります。
永住者には、この優遇措置は適用されません。
配偶者の就労
高度専門職の配偶者は、学歴や職歴の要件なしで、一定の就労活動を週28時間を超えて行える「特定活動」の対象となる場合があります。
ただし、従事できる活動の範囲には制限があります。
永住者の配偶者が「永住者の配偶者等」の在留資格になれば、就労時間や職種の制限はなくなります。
転職や失職のリスク
高度専門職は、所属機関が変わる場合に入管での手続が必要になるのが基本で、ポイントの維持も求められます。
また、正当な理由なく6か月以上、高度専門職としての活動を行わない場合は、在留資格の取消しの対象となり得ます。
永住者は、転職をしても届出で足り、失職しただけで資格を失うことはありません。
ただし、近年の法改正で、公的義務を故意に果たさない場合などに永住許可が取り消される仕組みが設けられています。
永住者になれば何をしても安心、というわけではない点には注意が必要です。
親の帯同とは|高度専門職だけの大きな特典
高度専門職が永住者より優れている最大のポイントは、本国の親を日本に呼び寄せられる点でしょう。
通常、就労系の在留資格を持つ外国人の親が、日本で長期滞在することは認められていません。
高度専門職は、その例外にあたる特別な優遇措置です。
親を呼べる2つのケース
親の入国と在留が認められるのは、次のいずれかの目的がある場合に限られます。
・高度専門職の方、またはその配偶者の7歳未満の子を養育するため。
・高度専門職の方の妊娠中の配偶者、または妊娠中の本人に対し、介助や家事などの必要な支援をするため。
子の養育を目的とする場合は、3か月以上継続して養育する予定であることが求められます。
そのほかの主な要件
・世帯年収が800万円以上であること。本体者の年収と配偶者の年収を合算できます。
・呼び寄せる親が、高度専門職の方と同居すること。
・呼び寄せる親は、本人側の親か、配偶者側の親のどちらかに限られ、双方から同時に呼ぶことはできないこと。
入管庁の案内では、親が就く在留資格は「特定活動」とされています。
また、先に高度専門職の方が来日してから、本国の親を呼び寄せることも可能です。
実際の審査では、同居の実態や世帯年収を示す資料、親子関係を示す戸籍などの書類が必要になります。
永住許可への切り替えと親の帯同のジレンマ
ここで、見落としやすい落とし穴があります。
親が日本に滞在できるのは、高度専門職の優遇措置があるからです。
そのため、本体者が永住許可を受けて「永住者」になると、親の在留の根拠となっていた優遇措置は、基本的に使えなくなります。
つまり、自分のキャリアや生活の安定のために永住許可を得たい一方で、永住者になると親の在留を続けることが難しくなる、というジレンマが生じます。
子育てのために親を呼んでいる最中の方は、永住許可を申請するタイミングを慎重に検討する必要があります。
たとえば、子どもが7歳を過ぎて親のサポートが不要になった時期に、永住許可へ切り替えるという考え方もあります。
ただし、この判断は個々の状況に大きく左右されるため、専門家に相談しながら進めるのが安心です。
状況別の選択の目安
ここまでの内容を踏まえて、どちらを選ぶかの目安を整理します。
高度専門職を維持したほうがよい方
・現在、または近い将来に、本国から親を呼び、子育てを手伝ってもらいたい方。
・7歳未満のお子さんがいて、家庭での養育環境を整えることを優先したい方。
・今の専門分野で長く働くことが確実で、在留資格による活動の縛りが負担にならない方。
永住許可の申請を進めたほうがよい方
・親を呼ぶ予定がなく、起業や異業種への転職、早期リタイアなど、キャリアの自由度を最優先したい方。
・住宅ローンの審査や事業上の信用を、できるだけ高めたい方。
・転職のたびの入管手続や、ポイント維持への不安から解放されたい方。
・今後の入管の混雑や審査の長期化を踏まえ、更新手続のいらない永住者の在留資格を早めに確定させたい方。
どちらにもメリットがあり、正解は一つではありません。
大切なのは、数年先の家族の姿まで見据えて、今の段階で選択肢を整理しておくことです。
よくある質問(Q&A)
Q1. みなし高度人材でも、永住許可の特例は使えますか。
A. 使える可能性があります。
高度専門職の在留資格に切り替えていなくても、申請時点と、1年前(80点の場合)または3年前(70点の場合)の時点で、ポイント要件を満たしていたことを証明できれば、特例の対象になります。
Q2. 80点と70点で、申請できる時期はどのくらい違いますか。
A. 80点以上なら継続して1年、70点以上なら継続して3年の在留で申請できます。
通常の10年と比べると、大幅に短くなります。
Q3. 配偶者と同時に永住許可を申請するとき、何に気をつければよいですか。
A. 本体者と配偶者とで、公的義務の確認期間が異なる場合がある点です。
とくに、年金や税金の納付が期限内に行われていたかどうかは、重要な審査対象です。
不安がある場合は、先に本体者だけが申請する方法も含めて検討するとよいでしょう。
Q4. 永住許可の手数料は、いくらになりましたか。
A. 2026年10月1日以降に受け付けられた申請については、20万円です。
それ以前の1万円と比べて大きく引き上げられています。
2026年9月30日までに受付が完了した申請には、改定前の手数料が適用されました。
Q5. 高度専門職の親の帯同は、どんな場合に認められますか。
A. 7歳未満の子を養育する場合、または、妊娠中の配偶者や妊娠中の本人を支援する場合です。
加えて、世帯年収が800万円以上であることや、親が高度専門職の方と同居することなどの要件があります。
Q6. 永住者になると、親の在留はどうなりますか。
A. 親の帯同は高度専門職の優遇措置にもとづくものなので、本体者が永住者になると、基本的に更新が難しくなります。
永住許可を申請する時期は、親の在留の見通しも踏まえて決めることが大切です。
Q7. 入管の混雑で、審査が遅れることはありますか。
A. 駆け込み申請の影響で、通常より審査に時間がかかる可能性があります。
在留期限に余裕をもって、早めに準備を始めることをおすすめします。
まとめ|永住許可と高度専門職は、家族の将来で選ぶ
高度人材外国人は、ポイントに応じて、1年または3年という短い期間で永住許可を申請できます。
高度専門職の在留資格がない「みなし高度人材」でも、過去の時点のポイントを証明できれば、この特例を利用できる可能性があります。
一方、高度専門職には、永住者にはない親の帯同という特典があり、永住許可への切り替えにはジレンマも伴います。
さらに、手数料の改定と入管の混雑という外部環境も、申請計画に影響を与えます。
ポイントの計算、過去の資料の収集、家族の納付状況の確認、申請のタイミングの見極めなど、準備すべきことは多岐にわたります。
「自分は特例の対象になるのか」「親を呼びたいが、永住許可はいつ申請するべきか」と迷われたときは、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
お一人おひとりの状況を丁寧にうかがい、最適な進め方をご提案いたします。
初回のご相談では、現在の在留資格やポイントの状況を整理するところから、お手伝いいたします。
お問い合わせは、当事務所のウェブサイトの相談フォームから、お気軽にどうぞ。
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