【導入】「JESTA(ジェスタ)」導入で何が変わる?ビザ免除国と在留資格の関係を行政書士が解説【法改正】

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【導入】「JESTA(ジェスタ)」導入で何が変わる?ビザ免除国と在留資格の関係を行政書士が解説【法改正】

【導入】「JESTA(ジェスタ)」導入で何が変わる?ビザ免除国と在留資格の関係を行政書士が解説【法改正】

2026/06/18

2026年5月、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正法が成立しました。

この改正の中心となるのが、電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」の創設です。

短期滞在のビザ取得が免除されている国や地域から日本を訪れる外国人観光客らを対象に、不法滞在の防止強化と入国審査の円滑化を目的として導入されるもので、2028年度中の施行を目指して準備が進められています。

入管庁の発表によれば、外国人の新規入国者数は近年最多を記録しており、そのうち短期滞在で上陸を許可された人の大多数がビザを免除されている国からの入国者だとされています。

一方で、入国した後に帰国せず不法滞在を続けるケースも一定数存在し、訪日外国人の急増にともなって入国審査の現場が混雑する傾向も続いていました。

JESTA施行後は、外国人が渡航前にパスポート情報や滞在目的、滞在場所などをオンラインで入力する必要があります。

入管庁が虚偽申請や過去の不法滞在歴の有無などを確認し、問題がなければ認証されるしくみです。

認証を受けていない外国人は、原則として日本への入国ができなくなります。

このニュースを見て、「ビザ免除」と「在留資格」の関係がよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、行政書士の視点から、ビザ(査証)と在留資格の違い、そしてJESTA導入によって何がどう変わるのかを、できるだけ分かりやすく整理していきます。

外国人の受け入れを検討している企業の方、国際結婚や親族の来日を予定している方にとっても、知っておいて損のない内容です。


 

「ビザ(査証)」と「在留資格」は法律上まったく別のもの

「観光ビザ」「就労ビザ」といった言い方は日常的によく使われますが、入管法のうえでは、査証(ビザ)と在留資格は明確に区別された、まったく別の制度です。

この違いを理解しておくことが、JESTAの仕組みを正しく把握するための第一歩になります。


 

・査証(ビザ)とは、外国にある日本大使館や総領事館が発行するものです。発行元は外務省系統の在外公館であり、「このパスポートは本物であり、日本に入国させても問題ない」という、いわば入国の推薦状にあたります。

・在留資格とは、外国人が日本に上陸する際、空港などの入国審査官から与えられる、日本に滞在して活動するための法的な資格です。発行元は法務省の出入国在留管理庁であり、こちらが滞在の許可そのものにあたります。


 

つまり、査証は「入国してよいと推薦してもらう手続き」、在留資格は「実際に滞在することを認めてもらう許可」という、役割の異なる二段階の仕組みになっているのです。

この前提を踏まえると、よく聞く「ビザ免除国」という言葉の意味も見えてきます。


 

査証免除国からの入国者は、本国で何もしなくてよいのか

米国や韓国、台湾をはじめとする多数の国や地域は、日本政府との査証免除措置の対象となっています。

これらの国の国民は、観光や親族訪問、短期の商用などを目的とする場合、事前に本国で査証の申請をする必要がありません。

通常であれば、現地の日本大使館に出向いてパスポートに査証のシールを貼ってもらうという手続きが必要になりますが、免除国の場合はこのステップを丸ごとスキップして、そのまま飛行機に乗って日本へ向かうことができます。

これが、いわゆる「ビザ(査証)免除」の本当の意味です。

事前の推薦状の取得が不要になっているだけであり、入国そのものが自由になっているわけではない、という点に注意が必要です。


 

免除国の外国人でも「在留資格」の取得は必須

では、査証が免除されている国の外国人は、在留資格の取得も不要なのでしょうか。

結論として、これは誤りです。

日本国内に滞在するすべての外国人は、例外なく何らかの在留資格を持っていなければなりません。

査証免除国からの旅行者が「在留資格の取得手続きをしていない」ように見えるのは、入国審査の場で自動的かつ即時に在留資格が付与されているためです。

具体的な入国の流れを比較すると、次のようになります。


 

査証が必要な国(中国やベトナム、フィリピンなどが代表例です)の場合は、まず本国の日本大使館で短期滞在査証を申請し、取得しておく必要があります。

そのうえで日本の空港で入国審査を受け、パスポートに短期滞在(90日など)の上陸許可シール、つまり在留資格を貼ってもらう、という二段階を踏みます。


 

一方、査証が免除されている国(米国、韓国、台湾などが代表例です)の場合は、事前の査証申請というステップそのものが免除され、直接日本の空港へ向かいます。

そして日本の空港で入国審査を受け、同じように短期滞在の上陸許可シール(在留資格)を貼ってもらいます。


 

つまり、どちらの場合も、日本の空港で入国審査(上陸審査)を通過した時点で、パスポートに「短期滞在」と書かれた証印が貼られる、という結論に変わりはありません。

免除国からの旅行者は、事前ビザなしで日本の空港に来て、その場で「短期滞在」という在留資格を取得して入国している、というのが法律上の正しい理解になります。


 

世間でいう「ビザ免除」とは、事前の推薦状(査証)の取得は免除するけれども、日本の玄関口である入国審査ではしっかりチェックし、問題がなければ「短期滞在」という在留資格をその場で与える、というシステムを指しているのです。

そのため、免除国の外国人であっても、入国審査の段階で不法就労の疑いがある、過去に強制送還されたことがある、といった事情が判明すれば、上陸許可(在留資格)は下りず、入国を拒否されることになります。


 

JESTA導入で、免除国は「査証必要国」と同じになるのか

ここまでの内容を踏まえると、今回のJESTA導入で気になるのは「免除国も、結局は査証が必要な国と同じ扱いになってしまうのか」という点です。

結論から言うと、査証が必要な国とまったく同じになるわけではありませんが、これまでノーチェックだった状態に「事前審査」というステップが新たに加わる、というのが正確な位置づけです。

JESTAが導入されても、免除国と非免除国の間には、次のような明確な差が残ります。


 

査証(ビザ)が必要な国の場合、申請先は現地の日本大使館や総領事館であり、住民票や預金通帳、在職証明書、招へい理由書など、大量の紙の書類を提出する必要があります。審査は大使館の領事官による個別の精査となるため、数日から数週間という時間がかかります。

JESTA(電子渡航認証)対象国の場合、申請先はオンラインシステムであり、提出する情報はパスポート情報や滞在目的、滞在場所などのテキスト入力のみで、紙の書類は基本的に不要です。審査もシステムによる自動照合が中心となるため、原則として即日から数日程度で完了する見込みとされています。


 

このように、手続きの重さという点では、免除国向けのJESTAのほうが、依然として査証必要国よりも簡便な制度設計になっていることが分かります。


 

なぜJESTAを導入するのか、その背景

JESTA導入の背景には、不法滞在の実態があります。

日本国内の不法滞在者のうち、相当数がビザ免除国から短期滞在の形で入国した外国人であるというデータが示されています。

これまでは、免除国であればパスポートさえあれば飛行機に搭乗できる状態だったため、日本に到着して初めて、過去に強制送還されている、実は不法就労が目的だった、といった事情が発覚し、空港で送還手続きが発生するケースが少なくありませんでした。

JESTAは、こうした問題を「飛行機に乗る前の水際」で防ぐための仕組みです。

考え方としては、アメリカの電子渡航認証システムや、ヨーロッパで導入されている同種の制度とほぼ同じ思想に基づくものといえます。


 

年間数千万人規模の審査、入管庁の業務はパンクしないのか

JESTAの対象となる旅行者数は年間数千万人規模にのぼるとみられており、これをすべて人の目でチェックしていては、現場の業務が立ち行かなくなることが懸念されます。

これに対して、入管庁はシステムによる自動化(DX化)と、業務プロセスの前倒し(いわゆるシフトレフトの発想)によって、むしろ現場の負担を軽減し、審査全体を効率化しようとしています。

具体的な効率化の工夫としては、大きく次の三点が挙げられます。


 

・審査の大部分をシステムによる自動照合に委ねる点です。外国人がオンラインで入力した氏名や生年月日、パスポート番号などのデータは、入管が保有する過去の退去強制歴や犯罪歴、要注意人物のデータベースとシステムが自動で突合します。問題なしと判定された大半の一般旅行者は瞬時に自動承認され、何らかのヒットや疑いがあるデータについてのみ、初めて入管職員による目視の精査が行われる、という二段階構成になっています。

・空港での審査時間を大幅に短縮できる点です。事前にJESTAで身元の確認を済ませ、事前審査をパスしていることで、日本の空港に到着したあとの対面審査がスムーズになります。将来的には、パスポートへの証印を簡素化したり、顔認証ゲートのようなウォークスルー型のしくみを活用することで、空港職員の現場負担を軽減する計画も進められています。

・手数料による財源確保の点です。JESTAの利用にあたっては、数千円程度の手数料が徴収される見込みとなっています。あわせて、今回の入管法改正では、在留資格の変更や更新、永住許可にかかる手数料の上限も引き上げられる予定です。年間数千万人規模の利用者が支払う手数料は、システムの維持管理費や、審査・外国人支援にあたる入管人員の体制強化のための財源として活用される見込みです。


 

まとめ

JESTAの導入は、旅行者側から見れば、事前のオンライン入力と手数料の負担が新たに発生するという意味で、一見すると査証必要国に近づいたように感じられるかもしれません。

しかし入管庁の立場からすると、危険性のある渡航者は出発国の段階で事前にブロックし、問題のない一般観光客は空港でスムーズに通過させることで、訪日外国人の受け入れと国内の治安維持を両立させるための効率化の仕組み、と位置づけることができます。


 

外国人を雇用する企業や、国際結婚・親族の来日を控えている方にとっては、短期商用での来日予定者や招待予定の親族が、事前認証を取得できずに来日できなくなるという事態も想定されます。

また、在留資格の変更許可申請や在留期間の更新許可申請、永住許可申請を予定している方にとっても、手数料の上限引き上げという形で実務への影響が及ぶ可能性があります。

制度の詳細は今後、政令や省令によって具体化されていく予定であり、最新の動向を継続的に確認していくことが重要です。

ビザ(査証)と在留資格の違い、JESTA導入による手続きの変化について、ご自身やご家族、勤務先の状況に照らして不安な点がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。


 

Q&Aコーナー


 

Q1.ビザ免除国の出身者なら、日本でそのまま働くことはできますか。

いいえ、できません。観光や短期商用などを目的とする短期滞在の在留資格では、日本国内での就労は認められていません。日本で働くためには、就労が認められた別の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)を事前に取得する必要があり、通常は在留資格認定証明書を取得したうえで、現地の日本大使館で査証の発給を受けるという手順を踏みます。短期滞在のまま入国し、後から就労ビザに切り替えればよいという考え方は、原則として認められていない点に注意が必要です。


 

Q2.JESTAの認証が下りなかった場合、日本へは一切行けなくなるのでしょうか。

JESTAで認証が下りなかった場合、原則としてそのままでは航空機への搭乗ができなくなる見込みです。その場合は、現地の日本大使館や総領事館において、個別に査証(ビザ)の申請を行い、通常の査証審査と同様の手続きを受ける必要があると考えられます。事前の簡易なオンライン手続きでは認証が得られなかったケースについて、より厳密な対面型の審査に切り替わる、という位置づけになる見通しです。


 

Q3.JESTAはいつから始まるのでしょうか。今すぐ準備が必要ですか。

2026年5月に関連する入管法改正が成立しましたが、JESTAそのものの施行は2028年度中を目標として準備が進められています。具体的な手数料額や申請方法、運用開始日などの詳細は、今後、政令や省令によって定められる予定です。今すぐ何かを申請する必要はありませんが、訪日予定の外国人を受け入れる企業や、招待予定のご家族がいる場合は、施行までの間に情報を継続的に確認しておくことをおすすめします。


 

Q4.在留資格の更新や永住許可の手数料は、具体的にいくらになりますか。

現時点では、手数料の法定上限額が引き上げられることが決まっている段階であり、実際に徴収される手数料額そのものは、今後、政令によって定められます。上限額の引き上げが、そのまま実際の手数料額になるとは限りません。永住許可の申請などを予定している方は、今後の政令の公表状況を注視しながら、早めに準備を進めておくと安心です。


 

Q5.査証(ビザ)と在留資格、どちらの専門家に相談すればよいのでしょうか。

査証(ビザ)の発給そのものは外国にある日本大使館や総領事館の権限であり、申請人本人や招へい人が直接対応する場面が中心になります。一方、在留資格認定証明書の交付申請や、在留資格の変更・更新、永住許可申請といった国内の出入国在留管理庁における手続きについては、行政書士などの専門家がサポートできる範囲です。ビザ免除や在留資格、JESTAに関する手続き全体で迷われた際は、出入国在留管理関連の手続きに詳しい行政書士へ相談することをおすすめします。

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※本ページは行政書士ダイセイ法務事務所のスタッフによる「ブログ」を掲載しております。日々の思いから専門知識、業界用語、内部事情など「中の人」しか知らないここだけの情報を「簡潔に」発信しております。ぜひご参考にしてください。

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